
(つづき)
藤井エミさんは約50年スウェーデンに在住、女性陶芸家として活躍し、スウェーデンや日本で数々の個展をなさっている方でした。
北暉庵の茶事の白楽茶碗や瑞暉亭の水指や茶碗など、エミさんの作品に出会ったのがご縁で、思いがけなくお宅へ押しかけ食事会をすることになりました。
快く食事会のために自宅を提供してくださったエミさん、どんな方かしら? どんな作品を作っていらっしゃるのかしら?

長期宿泊のお礼に中国人の方が白壁に描いたという水墨画 (エミさん宅からの風景)
エミさん宅はとてもユニーク、芸術家にふさわしいステキなお住まいでした。
元は学校とか、その一画を自由に改造して良いということで、アトリエ兼住まいとして購入したそうです。
天井の高い広い空間をそのまま生かし、寝室と浴室&トイレの2部屋だけ仕切りを作っています。
白壁の大広間に台所、大テーブルセット、小テーブルセットなどがすっきりと置かれ、窓辺には時計草の大鉢が並び、隅っこの棚に自作の陶芸作品が積まれていました。
食事会が始まる前に陶芸作品を手に取ってゆっくり見せてもらいました。
「棚から自分で見たいものを持って来て、こちらでご覧ください」
Fさんは買う気満々なのでたくさん、私は数点選び出し、小テーブルに置きました。
Fさんは素晴らしい茶碗を1つ購入、心に叶った一碗は旅の想い出とともにFさんの茶事を暖かく力強く支えてくれることでしょう。
暁庵はお気に入りの平茶碗があったのですが、セラミック(熱くなる)ということで今回は見送ることにしました。


時計草 (季節の花300) (クリックして)

ミートボールについて講義(?)中のゆかさん

スウェーデン料理といえばミートボールが有名ですが、まだこちらで食べていない旨を話すと、ミートボール食事会に決まり、必要な食料品はゆかさんがご主人のピエールさんと勤め帰りに買って来てくださいました。
エミさん、Oさん、ゆかさん、ピエールさん、Fさん、暁庵の総勢6人が御馳走が並ぶ大テーブルを囲みます。
一口にミートボールと言っても、豚、鳥、牛、ラム、鹿、熊(冬季?)などの食材で味わいが違うそうですが、ゆかさんお勧めブランド(たしかfor the people)のミートボール(豚、鳥、牛)にソースをかけて頬張りました。
このソースが決め手で、甘いジャムのようなものと辛いのと・・・・うーん名前が思い出せませんが、両方ともミートボールの味を一段と引き立ててくれます。
フランス料理もそうですが、スウェーデン料理に使われるソース、香草、香辛料の役割を改めて実感しました。
日本語とスウェーデン語が飛び交う食卓のなんと!楽しく美味しいこと。御馳走さまでした!


「暗く寒く長い冬は豊かさにも変わるのよ」
藤井エミさんは今、生涯最後の個展を企画中だそうです。
きらきらと目を輝かせながら、1年先になるか、2年先になるかわかりませんが、自分の手で有終の美を飾る個展をやり遂げたいと。
過去の個展の案内に書かれたエミさんの言葉が頭をよぎります。
「暗く寒く長い冬は豊かさにも変わるのよ」
「新しく白夜の朝焼けのような作品が生まれました・・・」
「もしできることなら生涯最後の個展の時にこちらへ来て、エミさんのすべてを感じる陶芸作品を見たい・・・」とそっと思いました。
その声が聞こえたのかしら? 帰り際に
「こちらへ来る事があれば、ゲストルームがあるのでそこにお泊まりなさい・・・」とエミさん。
エミさんに見送られ、途中でゆかさんとピエールさんと別れ、地下鉄でOさんと別れ、Fさんとホテルへ戻りました。
明日は、ストックホルム・ブロンマ空港からヘルシンキを経て、日本へ帰国します。
「ヘイドー(さようなら) Oさん、ゆかさん、ピエールさん、エミさん、そしてお会いした皆さん!!」


スウェーデンお茶の旅・・・最終章へつづく 前へ戻る 旅のトップへ戻る