
(茶事の写真がないので我が家の屏風です)
2月18日(日)、Sさまより夜咄の茶事へ招かれて、寒さも夜間も何のその・・・勇んで(?)出かけました。
席入りは18時、日の入りの関係で30分遅くなりました。
初めて東京のSさま宅へ伺うと、玄関の土間に続く上り框が十畳くらいのフラットな広間になっていて、その一部に三畳の畳が敷かれ待合になっていました。
さまざまな小灯しがその空間を温かく包みこみ、一方でほの暗く神秘的な雰囲気を醸し出していて、こんな待合の在り方も素敵だなぁ~とうっとりです。
ほの暗い中に煙草盆の火入や手あぶりの炭火が明々と美しく、調えられた灰筋に魅入りながら、ご亭主の気合が伝わってくるようです。
正客は不肖暁庵、ご連客はFさん、SNさま、ご亭主の友人・Mさま夫妻の計5名で、仲良く煙草盆と手あぶりを囲み、半東Iさんが運んでくださった御汁粉を頂きました。
待合の壁に掛物があり、どうやら染紙に書かれた歌切れ、その下に画(う~ん、茄子のような・・

かろうじて「梅月」の題字が読めましたが、あとの文字や画を判読できず、暗さゆえ・・・ということにいたします。
あとでご亭主から伺うと、「梅月」という銘の枇杷(袋に入っている)の画が下部に描かれ、「うぐいすの・・・・」の和歌が書きつけられていたそうで、今頃になって「梅月」の御軸(琵琶)がこの日の茶事そのものを物語っていた・・・と思い出しながら書いています。


玄関の土間に用意された露地草履を履き、手燭を持って、五人で露地を雁行し外腰掛に座りました。
折しも東の空から下弦の細い月がのぼったところです。
外の冷気を心地好く感じながら、如月の清々しい月を五人で眺めたのも良き思い出です。
前後が入り乱れますが、席中で「梅月」の御軸のことをご亭主から伺った時、先ほどの下弦の月こそ「梅月」そのものだったと・・・、そして再び心中で月を眺めていると、どこからともなく琵琶の音色が聞こえてきたように思えたのでした。
梅月や 迎え付け待つ腰掛で
夢かうつつか 琵琶の音色か 暁庵
やがてご亭主が迎え付けにお出ましになり、手燭の交換をし、会釈を交わしました。
まさに夢のような瞬間です。
席入りすると、床に
「柳緑花紅」
の御軸、筆者を忘れましたが、とても柔らかく個性的な御筆が心に残りました。
「春爛漫の情景を表わす語句ですが、元に或る意味の ”今あるがままの自然体で・・・”と思っております」とご亭主Sさま。
そのお話のお蔭で、主客共に自然体で茶事にのぞめた気がします。
前茶、初炭、懐石と茶事は和やかに進行していきました・・・。
梅月の夜咄の茶事に招かれて・・・(2)へ続く