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Channel: 暁庵の茶事クロスロード
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「春が来た!」茶事へ招かれて・・・その1

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さくらの開花宣言が聞こえ始めた3月17日、Fさんから「春が来た!」茶事へお招きを受け、社中4名でウキウキとお伺いしました。
正客はN氏、次客暁庵、三客Tさん、詰Kさんです。

大岡川の河岸段丘の坂を少しのぼるとFさん宅があります。
風情のある竹垣のある門を一歩入ったところから、前回とは様子が違い、亭主の心配りと進化を感じました。

玄関の小上がりがすっきりと片付けられ、待合が広くなっていました。
玄関の客迎えは春告鳥かしら? 衝立の水墨画は「敷松葉と椿」、きっとご主人の作かしら?
一つ一つにご亭主のおもてなしの心を感じながら身支度をし、待合へ。





待合には「静閑一味友」の短冊、三重県玉瀧寺の明道和尚筆です。
「心静かに友と一服の茶を楽しみましょう・・・」という声が聞こえてくるようです。
詰Kさんが板木を4つ打つと、汲み出しが運ばれてきました。
その日はとても暖かだったので香煎の入った汲み出しで喉を潤し、玄関先の腰掛待合で春風を清々しく感じながら迎え付けを待ちました。
正客N氏が迎え付けの挨拶を受け、蹲踞を使って順次席入りしました。

床には淡々斎の御筆で
「花知一様春」 (花知る一様の春)

長く寒い冬の風雪に耐え、春の喜びを謳い上げるかのように、椿、木蓮、辛夷、彼岸桜などが一斉に咲き揃いました。
この御軸を拝見した時、私には花がご亭主Fさんのように思われたのです。
長年茶道に親しみ研鑽を重ねてこられたFさん、培われてきた経験と知恵が今日の「春が来た!」茶事で開花し、まさに今がFさんの花時・・・と思われたのです。
・・・そして、これからの茶事のご趣向がとても楽しみでした。



初炭になり、釣釜は八代寒雉造の霰棗釜、インパクトのある根来塗の炭斗、豪華な孔雀の羽箒が目を惹きます。
それに青貝梅文様が描かれた拭き漆古材の炉縁がなんとも優雅で、ゆらゆら揺れる釣釜とお似合いでした。
炉に一同近寄って、きっと皆さまは炭手前を稽古中なので、我がことのようにご亭主の炭手前を見詰めたことでしょう。
なごやかにお話しながら炉中の様子を拝見し、湿し灰が撒かれ、炭が置かれ、手前が進んでいきます。
点炭が置かれ、このまま炉辺に居れたら・・・と名残惜しく席へ戻りました。
香合は朝日焼の琵琶香合、香は梅ヶ香、香元は松栄堂だったような・・・とても佳い香りが辺りを払い清める様に満ちていきました。

一生懸命作ってくださった春を感じる懐石を美味しく頂戴しました。
頂くのに夢中で、食べるとすぐに献立を忘れるようになり、困ったものです・・・。
続いて主菓子を頂戴し、先ほどの外腰掛へ中立しました。
主菓子は銘「花遊び」、一口頂くと柔らかく、春(桜)の香りに包まれた道明寺は叶匠寿庵製です。


       「春が来た!」茶事へ招かれて・・・その2へ続く


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