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Channel: 暁庵の茶事クロスロード
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2020年 口切の茶事・・・(2)初炭と懐石

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つづき)

初炭になり、大きな瓢の炭斗、続いて灰器が運び出されました。大きな瓢の炭斗は茶友Wさまがユウガオの種から育て作ってくださったもので、暁庵の宝物です。粗相して欠けた所を漆で接いで愛用しています。

点前座には13代圓能斎お好みの猿臂棚(えんびだな)、その天板に羽箒と香合が莊られています。

猿臂棚は桐木地四本柱の運び棚なので初炭では水指がありません。初めて茶事に使いましたが、桐木地が清々しく、玩具の弾き猿から意匠されたという客付きの弓なりの透かし板が斬新で、水指が映える棚です。

 

香合は「ころ柿」、陶製で作者は尾形乾女、愛媛県宇和島市在住のK先輩から譲られたもので、香は彩雲(鵬雲斎大宗匠御好、松栄堂)です。

香合の作者・尾形乾女についてよくわからなかったので調べてみました。

尾形乾女は六世尾形乾山の娘で、日本画や陶芸などの作品を残している。六世乾山は弟子のバーナードリーチや富本憲吉に跡をつがせようとしたが実現せず、乾女も七世を継承せず、”乾山”は断絶した。平成9年98歳で乾女永眠(詳しくはこちらのブログをご覧ください)。

 

   (数日前のお稽古の時にパチリ・・・)

初炭が始まると、あとはKTさんにお任せして懐石の手伝いに入りました。予定より10分ほど早く初炭が終わったので、KTさんに席中へ戻って支度が出来るまでお客さまとお話をしていただました。

さぁ~、白飯も汁もホカホカの懐石の御膳が出来上がりました。

佐藤愛真さんが心を込めて作ってくださった懐石の献立を記します。色味や食材などお目出たいものを取り揃えてくださいました。

口切の茶事のお献立   令和2年11月28日(土)

向付  鮭のきずし 黄菊 水前寺海苔 山葵 加減酢

    (桔梗小鉢 真葛香斎)

飯    一文字

汁    結び干瓢 小豆 白味噌 辛子

煮物椀  車海老の葛叩き 粟麩 軸れん草 

     銀杏のすり流し 松葉柚子

焼物   鯛の若狭焼き  (馬の目大皿 鈴木五郎)

強肴   飛竜頭 春菊 大根 紅葉麩 炊合せ 針柚子 (黄瀬戸どら鉢)

箸洗   神馬草 梅酢仕立

八寸   新唐墨 栗の渋皮煮

香の物  沢庵  赤蕪  千枚漬  (唐津焼 井上東也)

湯斗   こがし

酒    万寿鏡(ますかがみ)

 

KTさんと暁庵も水屋でお相伴しましたが、全部美味しかった!です。

向付の「鮭のきずし」は砂糖と塩でしめてから、酢でしめるという手間のかかった一品で、いくらでも頂けそう・・・。オーネル敏子さんが作ってくださった、スウエーデン料理のGravad lax (グラーヴァッド・ラックス)を懐かしく思い出しました。

親友Mさんこと隆子さんがどっさり送ってくれた銀杏を使った煮物椀(銀杏のすり流し)は緑の色合いと言い、お味と言い、絶品でした。「出来たてなの」と出された八寸の新唐墨も丁度好いかたさで、舌鼓を打ちました・・・ごちそうさま

きっとお客さまも満足してくださったと思います。(久しぶりの半東で余裕がなく、料理の写真を撮り忘れ残念です・・・ 

主菓子は丸餅入りの善哉、柿を添えました。

その後、腰掛待合へ中立していただきました。(つづく)

 

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