昼食後、銅鑼が打たれ再び茶席へ入り、濃茶が始まりました。
濃茶は2席あり、寿棚(淡々斎好み)に水指は萩焼・割高台、薄器は大内塗秋草蒔絵の中棗にしました。
1席目の亭主はSさんです。客は3名、正客Uさん、Y氏、T氏の順で四畳半入りしました。
炉で初めての濃茶点前になりますが、昨年とは違い、とても落ち着いて点前しています。コロナ禍でSさんは思うように稽古に来れない日が続きました。それでも自主稽古を重ねていらしたので、良い意味での自信が出来てきたように思います。
各服点なので2椀を練ってもらい、1碗は水屋からお出ししました。濃茶はIさんが口切で選んだ「壷切抹茶」(丸久小山園)、主茶碗は光悦写しの赤楽(杉本貞光)です。
お道具拝見の声が掛かり、茶入、茶杓、仕覆が拝見に出されました。茶入は丹波焼肩衝(石田陶春)、茶杓は銘「好日」(玉龍寺明道師)、仕覆の裂地は俵屋金襴です。
暁庵はちょっと見学席で覗いただけで、中途半端に口出ししない方が良さそうなので皆さまにお任せしました。
会後に亭主Sさんから頂いたメールに「先日の口切りの会は久しぶりの炉のお点前でしたが、皆様に暖かく見守っていただいたおかげで、あまり緊張せずに楽しみながら出来た気がします・・・」とあり、喜んでいます。
(濃茶点前中のSさん・・・暁庵もいただきたいわ!)
(濃茶点前中のT氏・・・端然として緊張感を感じる点前がステキです)
濃茶・第2席の亭主はT氏です。なんと!入門して初めての稽古が「炉開きと口切の会」の濃茶の亭主でした。
正客はKさん、F氏、Iさんの順で、濃茶を2服練って頂き、Iさんには水屋からお持ち出ししました。お服加減はいかがでしたか?
主茶碗は 飴釉(13代大樋長佐衛門(年朗))、茶入は薩摩焼胴締め(15代沈壽官)、茶杓は銘「雲錦」(聚光院 戒仙師)、仕覆の裂地は大黒屋金襴です。
ベテランさんとはいえ初稽古、社中の皆さまとも初対面だったので、ちょっぴり心配していました。
会後にT氏から次のようなメールを頂き、安堵しています。
T氏より
土曜日は「炉開きと口切の会」に参加させていただきありがとうございました。
先生の教室での初稽古が口切という改まった日と重なり、一層感慨深いものがございました。
先生にはご準備も大変なところこのような会を催していただき、本当に有難く思います。また、社中の皆さまも初めての私によくしていただき感謝しております。
当日はお天気にも恵まれ、茶人の正月に相応しい晴れやかで、楽しい時間を過ごさせていただきました。
茶壷の封印を切るところでは少しどきどきしましたが、後で伺えばIさんは左利きとのこと、なかなかできることではないと思いました。葉茶漏斗の背を叩くリズムも徐々に軽やかになり風情を感じたところでございます。
また、床の菊も鮮やかで「献上」飾りが素敵でした。
お軸の點笑のとおり社中の皆さま和気藹々と和やかな一会でございました。
口切や日の当たりゐるにじり口 星野立子
濃茶が終わり、薄茶が2席続きました。
(薄茶点前中のY氏。袴姿で点前するのは初めてですが、なかなか決まっています)
薄茶1席目の亭主はY氏、2席目の亭主はF氏です。
実はお二人とも炉での薄茶点前は初めての経験でした。でも、風炉の薄茶点前はしっかり出来ているので、あまり心配せずにお二人にお任せすることにしました。
多少間違えても薄茶が美味しく点てれれば大丈夫ですし、きっと先輩方が優しく(?)教えてくれることでしょう・・・。
それに私が席へ入るとお稽古みたいになってしまうので、それも避けたいな・・・と思いました。ある意味でお稽古ではなく、人前でお点前をすることが大事、人前で緊張しながら点前をしてこそ初めて得られるものが多い・・・と考えています。
(Y氏の薄茶席のお客様たち)
(高校時代茶道部で鍛えられたF氏の薄茶点前、所作がとてもきれいです)
(F氏の薄茶席のお客様たち・・・あれっ!ご指導中かしら?)
それにしても、炉での薄茶点前が初めてだというお二人の堂々と落ち着いた姿に感心しました。
Y氏の袴姿も凛々しく、この日のためにスーツを新調(?)して臨んでくださったF氏の心意気にも感激でした・・・。これからが益々楽しみです。 (つづく)
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