
明日(10月4日)は中秋の名月です。
9月29日(金)、Fさま(暁庵社中&五葉会メンバー)から「旅の思い出」茶会へお招きがあり、五葉会の皆さまといそいそと出掛けました。
実は南仏プロヴァンス&スウェーデンの旅から帰ってまもない7月9日のこと、第1回目の茶会に社中の皆さまと共に招かれたのですが、このたび五葉会のメンバーということで2回目のお相伴にあずかりました。
たびたび当ブログで書いていますが、「茶事の真髄は家庭茶事にあり」・・・と家庭茶事にはまっています。
茶事に不向きな家の間取りや動線、家人の協力、生活臭など乗り越えなければならない課題が山積みですが、それらをどのように創意工夫しまたは折り合って、その方らしいおもてなしをなさるのか、さらに伺うたびに茶事の内容や環境が変化(進化?)する楽しみも味わえ、互いを思いやり切磋琢磨できる家庭茶事を推奨しています。
・・・そんな訳で、今回のFさまの「旅の思い出」茶会、2回目なのでその変化も楽しみでした。

玄関の客迎え・・・大津絵が掛かれた瓢
11時30分の席入のご案内でした。
横浜駅で正客Hさま、次客Yさま、四客Wさま、詰Kさまと待ち合わせ、Fさま宅へ向かいました。
Fさま宅は狭い階段を上った高台の途中にあり、門をめぐる芝垣に茶人の家らしい趣きを感じます。
待合は茶室前の広い廊下、ご主人が蒐集されたという骨董品(薬箪笥、衝立、古伊万里など)があちらこちらに飾られていて目を惹き、煙草盆も骨董品でしょうか。

「清坐一味茶」(前大徳・明道和尚筆)の短冊が掛けられ、
「お忙しくお過ごしの皆様に忙中閑あり
・・・というひとときを感じて頂けますよう
私もいつものせっかちな気持ちを払拭して
粗茶一服 差し上げたく思います・・・」
というご亭主の気持ちを表しているようでした。
汲み出しが運ばれ、腰掛待合へのご案内がありました。
その日は蒸し暑く坂道の階段を上って来たので、ミントの入った白湯の美味しかったこと!
腰掛待合は玄関前の狭いスペースを上手に利用して作られ、南仏プロヴァンスの旅で買った籠の煙草盆とビーズ編みの煙草入、青釉火入が人待ち顔で待っていました。

「旅の思い出」の煙草盆
腰掛待合の横に大きな実を実らせた南国系植物(・・・あとで御主人が丹精している浜木綿とわかりました)があり、
「この大きな実はなんの花かしら??」と話し合っていると、ご亭主の向い付けです。
無言の挨拶を交わし、筧の水音も涼しげな蹲踞で心身を浄め、席入りしました。

浜木綿(はまゆう)の花
話尽山雲海月情
前大徳・泰道和尚筆のお軸が床に掛けられています。
読み下しは、話(かたり)尽くす山雲(さんうん)海月(かいげつ)の情。(碧厳録)
「山にかかる雲、海にかかる月、即ち一切のこころと言うのが山雲海月の情で、
この場合、親しきもの同士が胸中の心情、境地、心境のありったけを語り尽すさまを表しています。お互いすべてをさらけ出し、包み隠すことなく、打ち解けあい、あらいざらいに心情を語り合う」・・・という意味だそうです。
ご亭主と大いに山雲海月の情を語り尽したいし、「旅の思い出」を心ゆくまで語ってもらいたいと思いました。(つづく)

「旅の思い出」茶会・・・その2へ続く