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Channel: 暁庵の茶事クロスロード
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謹賀新年&「咄々々」 in 2017

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あけまして おめでとうございます!

本年も「暁庵の茶事クロスロード」を宜しくお願い申し上げます



元日・・・暮れに帰郷した息子たちを10時に叩き起こし、ニューイヤー駅伝を見ながら
お屠蘇で一献、雑煮碗、おせちの重箱を並べて新年をお祝いしました。

ひと休みしてから墓参りです。
ツレの故郷(愛媛県西予市)では正月に一家総出で墓参りをするのです。
早や明日は息子が九州へ戻らなくてはならず、今日しか行く日がありません・・・。
車で15分、亡き母が眠っている霊園へ着くと、元日なのにけっこうな人出でした。
花、香、菓子を供え、息子たちも神妙にお詣りしてこれにて一段落です。

その息子たちも2日夜にはあわただしく、それぞれの生活の場へ戻って行き、
寂しいけれどやっと静かになりました・・・。 


「咄々々」

さて、今年の抱負ですが、「咄々々」(とつとつとつ)でしょうか。
「咄々々」とは、驚きと感嘆のあまりに発する声です。
{あらっ!」 「まぁ!」

昨年末に初めて伺ったTさまの茶事で、何度心の中で「咄々々」を楽しんだことでしょう。
小さな驚きの連続が私の緊張感を融かしてくれ、一座建立が心地よかったです。

素敵で愉しい「咄々々」を心掛け、同時に「咄々々」を大いに楽しみたいものです。
失敗を恐れず、出会いとチャレンジ、驚き、感動する心を今年も大事にして、
生徒さんと一緒にお稽古や茶事に励みたい・・・と思っています。

皆さま、今年もどうぞ宜しくお願い致します。  


達磨さんに願いを託して

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                     川崎大師・遍照殿 (ここまで1時間並びました)
                   
正月3日に川崎大師へお詣りに行きました。
本当に久しぶり、十年ぶりくらいでしょうか?

京都を引っ越す直前の「十日ゑびす大祭」で願懸けした達磨さんを納めに参ります。
やっと両目が入りましたが、ちょうど2年掛かりました。

京浜急行の「川崎大師」駅で下りると、凄い人出でもうびっくり!
京都では神社仏閣が多いせいか、初詣は空いていたような・・・。
参道も一方通行の回り道、しかも入場制限があり、少しずつしか前へ進めません。
1時間後にやっと拝殿へ辿り着き、正面中央でしっかりお詣りしました。

                    
                          遍照殿から振り返ってみると・・・
それから恒例のおみくじです。
元日は近所の三嶋神社で小吉、2日は近所の本村神明社で末吉、三度目のおみくじです。
八十六番の引き出しから頂いたおみくじは大吉でした。
「やったぁ~!」
なぜか、大吉に福を呼び込んだような気持ちになり、
「今年もやるべきことをしっかり頑張るぞ!」と勇気が湧いてきたのです。

                    
                           神妙におみくじを引くツレと私
                    
                           早速、片目を入れました

両目が入った達磨さんを古札所へ納めると、すぐ脇に達磨さんを商う店がありました。
早速、一廻り大きな達磨さんを購入し、心の中で願懸けをしました。
この達磨さんを納めに来るのはいつになるだろうか・・・と思いながら。

                    
                     達磨さんを床に飾りました
                    (右下にちょこんといらっしゃいます)

さて、今年も仲良くぼちぼちと参りましょう。 

第4回お茶サロン 「春は名のみ」の正午の茶事のご案内

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第4回お茶サロン 「春は名のみ」の正午の茶事のご案内

今日は、お茶サロン(第4回)のお誘いです。
年2回(風炉と炉の時期に)自宅で気軽なお茶サロンを開いておりますが、第4回はお茶事をいたします。
少人数の茶事ですので、お出かけ下さると嬉しいです。
詳しくは下記をご参照ください。

第1回お茶サロン「聴雨の茶会」第2回お茶サロン「聴雪の茶会」第3回お茶サロン「お茶とハーブティーを楽しむ会」を開催しております。)

                    
                       


「春は名のみ」の正午の茶事

冬の真っただ中ですが、人も鳥も草木も、生きとし生けるものが、寒さに逞しく耐えて春の到来を待っています。
2月4日は立春、春はまだ名のみの2月11日に正午の茶事にて御茶一服差し上げたく、
暁庵と半東・宗厚さんが手づくりの懐石でおもてなしさせて頂きます。
勇気を出してお申込みしてくださると嬉しいです。 

日時:平成29年2月11日(土) 11時席入(20分前までに待合集合)
 
茶席:拙宅:横浜市旭区今宿 (参加の方に詳しいアクセスを別途お知らせします) 
   最寄駅:相鉄線二俣川駅  (車の方はご相談ください)

会費:1万円 

内容:正午の茶事(炉)
   席入~初炭~懐石~菓子~(中立)~濃茶~後炭~薄茶~終了・解散予定(15時30分)

お客さま:5名様

参加資格:初心者の方でも流派が違う方でも大歓迎です。
      お茶事を楽しんでください。
      (但し、稽古茶事ではありませんので自習して来てくださいね)
               
応募方法:メールにてお申込みください(氏名、住所、連絡先電話、簡単な茶歴など)
      メールアドレス:akatuki-ane@grace.ocn.ne.jp

応募期間:1月6日(金)~1月22日(日)まで

その他: 満席になりましたら、この欄の追伸にてお知らせいたします。
      ご参加を楽しみにお待ちしております。     

     

HOLLYWOOD FESTIVAL ORCHESTRA in 2017

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数日前に涙(? )で別れた息子と横浜みなとみらいで再会しました。
なんと!HOLLYWOOD FESTIVAL ORCHESTRA (HFO) のニューイヤーコンサートへ招待してくれたのです。

2年ぶりの来日で、前回は大阪オリックスホール、今回(1月6日)は横浜みなとみらいホールでHFOの演奏を楽しみました。
これから1ヶ月、札幌から福岡まで「日本ツアー2017」と称して日本各地16ヶ所をまわるとか。

                     

横浜に住みながらみなとみらい方面へ出かけるのも、コンサートも本当に久しぶり。
「お茶に偏り過ぎた人生を送っているな・・・」とちょっぴり反省もあり、一方でお茶にのめり込んでいる自分に満足感もあり・・・複雑ですね。

               
         ランドマークタワーを見上げる           タワー内は外国みたい・・・

桜木町駅で降りて、ランドマークタワーまで動く歩道を歩きました・・・帆船日本丸やドッグヤードを見下ろしながら。

                     
                     
時を刻む観覧車、クィーンズ、帆かけ舟のビルのある風景が広がり、急に懐かしさが込み上げてきました。

                     

13時30分開場なので何処でランチを頂こうかしら?・・・これも楽しみでした。
頭の中では既に決まっていて、フレンチで有名な「クィーンアリス」のランチコースにしました。

                     
                            前菜・・・20種類の野菜のテリーヌ
                     
                            デザートはモンブランをチョイス

さて、肝心のHFOのコンサートですが、Program A を記念に巻末に書いておきます。

                     
                         横浜みなとみらいホール  (開演前ですが・・・)

中でも「ゴッドファーザー」と「ニュー・シネマ・パラダイス」、両方とも大好きな映画でもあり、
哀愁をさそうメロディーと共にシーンの数々が思い出され、いつか涙が・・・。
コンサートマスターのヴァ―ジル・ルブーのバイオリンが素晴らしかったです。
これぞHOLLYWOOD FESTIVAL ORCHESTRAならではの感動・・・と思いますが、もう一つ
チャップリンの「独裁者」や「モダン・タイムズ」の映像が背景のスクリーンに映し出され、
その映像が妙に音楽と合って可笑しく、音楽と映像のハーモニーを楽しみました。

中でも圧巻は「風と共に去りぬ」です。
スカーレット・オハラの逞しくも悲しい生き様、南北戦争で負傷した兵士たちが群がる停車場のシーン、
燃え盛る炎の中を馬車で脱出するシーンなど、簡潔にして迫力のある映像が演奏を盛り上げ、
オーケストラ、映像、聴衆が一体になりました。

「うーん!・・・・素晴らしかったわ。ご招待ありがとう!」 


Program A は
 「第一部」
 ~ハリウッド超大作より~
  1.スーパーマン・リターンズ
  2.ゴッドファーザー
  3.レイダース:失われたアーク

 ~アカデミー賞作品賞映画より~
  4.タイタニック
  5.80日間世界一周
  6.戦場にかける橋
  
 ~ヨーロッパ映画名作より~
  7.ニュー・シネマ・パラダイス
  8.ひまわり

 ~チャップリン名作集(映像とともに)~
  9.独裁者
  10.モダン・タイムス

 「第二部」
 ~ハリウッド・ソングス  ビリー・キング/ヴォーカル作品~
  1.慕情
  2.スタンド・バイ・ミー

 ~KOKIAセレクション~
  3.シェルブールの雨傘
  4.サマータイム
  5.心の蝋燭
  6.infinity

 ~懐かしの名曲より(映像とともに)~
  7.カサブランカ
  8.グレン・ミラー物語
  9.風と共に去りぬ

2017年 釜師・長野新夫妻の初釜へ・・・その1

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1月9日に釜師・長野新氏&珠己さん夫妻の初釜へ出かけました。
昨年の初釜に続いての参席ですが、今年は社中のFさんとご一緒でした。
桶川駅からタクシーに乗り10分位で松風居(父上、釜師・長野垤志宅)へ到着。
既にお客様がいらしていて、お正客Yさまはじめ相客の皆様とご挨拶しました。

長野夫妻の初釜の魅力はいろいろありますが、
一、どんな釜が懸けられるのかしら?(釜好きで、新氏ファンの血が大いに騒ぎます) 
二、お客さまに染色、ガラス、陶芸の作家さんや他流(表千家流や宗編流)の方がいらして、いつもと違う顔ぶれが新鮮です。
三、長野新氏は表千家流(珠己夫人は裏千家流)なので、初炭や濃茶など表千家流点前が楽しみです。
四、とにかく酒が多種類、多量ふるまわれ、酒好きにはたまらないでしょうね。
(お酒に弱い暁庵は次々に登場する素敵な燗鍋に目を奪われているうちに、目が回ってきます・・・)

                       

さて、そろそろ席入といたしましょう。
詰のお役を承っていたので、最後に席入し、障子をピシャリと少々音高く閉めました。
床には「お福百態」の図、見事なバンペイユの正月飾り、伏見人形の鶏が仲良く2羽、
床柱の青竹の花入に梅と椿が生けられています。

それから・・・点前座に進み、ドキドキしながら釜を拝見しました。
炉釜は長野新氏のオリジナルの和づく釜、がっしり聳え立つ山容を思わせる形、肩(上部)にある巴のような飾りが印象に残ります。
鐶は鬼面、姥口、古色を感じる蓋も好ましく、思わず手で釜肌を撫でてみたくなりました。

                     

新氏がお一人お一人と挨拶を交わし、それがお客さまの紹介を兼ねていて、多彩な交友関係に興味津々です。
1年ぶりに表千家流の初炭手前を拝見しました。
炭斗の炭の入れ方、かわいらしい灰器、もちろん炭の置き方も裏千家流とは全く違い、Fさんと一緒に目を丸くして初炭手前を堪能しました。
香合は楽焼のようにも見える「福良雀」、なんと!新氏の父上・長野垤志氏の作でした。

初炭が終わると、懐石膳が運ばれ、目に美しく、舌にも美味しい懐石をしっかり頂きました。
先ほども書きましたが、どちらかというと食べるより飲む方が凄い方が多いような・・・。
適度にお酒が入った新氏の釜造りの話が面白く奥深く、八戦八敗して取り組んでいる釜の話を目を輝かせてしてくださいました。
釜造りの苦労話を伺うと、「新氏に車軸釜を造ってもらってヨカッタ!」といつも思うのです。

登場する燗鍋は垂涎ものですが、今回は「うぐいす」の啼き声のする徳利と杯に目が留まりました。
その徳利で酒をつぐと「ケキョ ホーホケキョ」と啼くのです。
杯にも工夫があって、ある場所に口を着けて飲むと「ホーホケキョ」。
とても気に入って、何度も鳴き声を楽しみ、ついに「うぐいす徳利」をお借りすることに・・・。

             
       2017年 釜師・長野新夫妻の初釜へ・・・その2へつづく
                

2017年 釜師・長野新夫妻の初釜へ・・・その2

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(つづき)
詰のお役を承ったのですが、足指の骨折が快癒していないので、懐石では座卓と椅子を拝借しました。
そのおかげで初座が終わっても膝の痛みも足の痺れもなく、お借りして正解!と思っていると、
次客Nさんが立ち上がるのも大変そうでした。
痺れだけでなく両足がつってしまったようです。

詰のお役はほとんどFさんに助けて頂きましたが、やっと詰のお役が果たせそうです。
Nさんの足裏を踏んだり、足首やふくらはぎを揉んでさしあげたり、一生懸命介抱(?)しました。
少しずつ良くなってきて、
「両足がつるなんて、こんなの初めてです! おかげさまで立って歩けるようになりました」 (ほっ!ヨカッタ・・・)

                     
                     藁囲いの寒牡丹 (季節の花300)

初釜からだいぶ日が過ぎたけれど、Nさんのことが今も鮮明に思い出されます。
Nさんこと西中千人(にしなかゆきと)氏は世界を舞台に活躍されているガラス作家さんです。
珠己さんからの紹介文に
「斬新なデザインと色使い、作品はそのままご本人の魅力が炸裂。
創りだされるガラスの庭には、驚きの蹲も!」とあり、どんな庭と蹲かしら?と興味津々です。

喚鐘が七点打たれ、後座の席入です。
富士山と千本松原が描かれた風炉先、長板に清々しい鍋島青磁の皆具が置かれ、その前に茶入がありました。
3枚の古裂を縫い合わせた仕覆が脱がされ、茶入が現れた途端、あっと声が出そうになりました。
「硝子みたいだけれど、なんて存在感のある斬新な茶入なんだろう!」

それはガラス作家・西中千人氏の作品でした。
肩衝のような、胴締めのような形状の硝子茶入に、赤、黒、白、緑のガラス片が貼り付けられています。
(これは西中氏が現在追及している呼継(よびつぎ)という技法らしい・・・呼継とは異なる色のガラスをあえて壊し,その片を溶かして継ぎあわせる手法)
蓋はガラスではなく錫製とか、こんなユニークな茶入を茶事で使ってみたい・・・と憧れます。
ガラスの庭や蹲のお話も飛び交い、西中さんの作品へのこだわりやスケールの大きな創作姿勢が垣間見られるひと時でした。

                      
                        呼継の茶入 (西中千人作品集より)

いよいよ長野新氏の濃茶、前回のような沈黙の時間を期待していたのですが、さらさらと進み、濃茶が練られます。
しっかり練られていて、まろやかで美味しい濃茶でした。
釜を造る本業の傍ら、表千家茶道の稽古を積んでいらして、袴姿も美しく所作も見事でした。
・・・でも、懐石でかなりお酒が進んでいたので、同門社中の護国寺茶道部の皆様はきっと我がことのように息を詰めてお点前を見守っていたことでしょう。

続いて薄茶になり、珠己夫人の点前、新氏の半東です。
現代作家さんの茶碗の中からお気に入りの田中隆史氏の茶碗(粉引)を選んで2服頂きました。
最後に茶杓のことを書いておきます。
飴色の竹の茶杓、とても華奢な作りでどなたの作かしら?と気になっていました。
父上・長野垤志氏の作で、銘「つれづれ」(たしか・・・?)でした。

先輩、友人、父母に見守られて幸せいっぱいの初釜でスタートした長野新氏&珠己さん夫妻、
お二人の今年のご活躍を祈りながら、松風居を後にしました。


        2017年 釜師・長野新夫妻の初釜へ・・・その1へ戻る

暁庵の茶道教室の初釜 in 2017 ・・・(1)

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                        シンプルな正月飾りが素敵でした・・・          

1月18日(水)は暁庵の裏千家茶道教室の2回目の初釜でした。
昨年は我が家でしたが、今年は横浜市中区の茶席「K」にて茶事形式で行いました。
今まで茶席を使用した初釜を何度か経験していますが、主催者としては初めてです。
掃除は勿論のこと、正月用の床飾りや茶道具、懐石、抹茶、菓子まで用意されていて、なんて楽ちんなのでしょう・・・!
それでも、茶事なので問答ができないのは如何なものかと、亭主役のN氏が愛蔵品をいくつかお持ち出ししてくださって、社中一同、楽しみにしていました。

席入は11時です。
我が晴れ着ですが、地紋のある藤色に扇面模様の色留袖、銀箔に葵祭の牛車行列を刺繍した帯、いずれも母の形見です(書いておかないとすぐ忘れるので、お付き合いください)。
一張羅の晴れ着をまとい、9時に車で出発したのですが渋滞もあり、9時50分にやっと到着。
一足先に到着していたFさんに心配をお掛けしたみたい・・・。

                     

半東役のYさんが福島県いわき市から到着、社中全員も揃って待合へ入られたようです。
濡れ釜、嶋台茶碗のあたため方などを水屋で指示してから待合へ合流しました。
皆さま、素敵な晴れ着をお召しで、お正月らしい華やいだ雰囲気に包まれています。
この平和でかけがえのない幸せなひと時に、一瞬、胸がキュンとなりました。

初釜の茶事は初稽古でもあるので、なるべくお役を交代してやって頂きました。
初座では、正客暁庵、次客Aさん、三客Uさん、四客Tさん、五客Kさん、詰Fさん、亭主N氏、半東Yさん。
後座では、正客がFさん、詰N氏、濃茶は暁庵が務め、後炭はYさん、薄茶はYさんとKさんです。

板木が6回しっかり打たれ、茶事のスタートです。
白湯の代わりに梅干と結び昆布の入った福茶を頂きました。
待合の掛物はおめでたい「宝珠」画と「寿」賛の色紙、宗興と読めましたが・・・。
腰掛待合で筧の水音を聞きながら待っていると、袴姿に着替えた亭主N氏の迎え付けです。

                      

頃合いを計って蹲踞を使い、広間(八畳)へ席入しようとすると、お釜が掛かっていません・・・
「お釜が掛かっていませんよ」
襖を閉め、しばし待ってから席入すると、床荘がシンプルで素敵でした。
青々とした「結び柳」と千歳盆に炭飾り、そしてN氏お持ち出しの掛物。
初日の出、海の上に蓬莱山があり、亀が泳ぎ、数羽の鶴が飛んでいて、お正月にふさわしい雄大な景色が画かれていました。
後ほど、「娘の結納の時に掛けて以来です」と伺って、N氏の教室や社中への親心のようなものを感じ、
「今年もいろいろお世話になります・・・」と深く感謝です。
作者を伺ってもうびっくり! (ナイショです・・・)

釜は芦屋の写しでしょうか、松の文様、鬼面の鐶付、味わいのある蓋、とても惹かれるお釜でした。
しっかり濡らしてくださった釜肌のなんと美しく、存在感を主張していることか!
久しぶりに味わう茶事の醍醐味の濡れ釜でした。


         暁庵の茶道教室の初釜 in 2017 ・・・(2)へつづく

暁庵の茶道教室の初釜 in 2017 ・・・(2)

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                                 青漆爪紅の及台子
(つづき)
点前座には青漆爪紅(せいしつつまぐれ)の及台子、紫交趾七宝紋の皆具、天板に松喰鶴蒔絵の大棗、
初炭のための香合と羽箒がかざられています。

全員が一堂に会し、新年のご挨拶と年の初めに思うことを述べてもらいました。
皆様の茶道へのお気持ちや抱負を伺うと、何やらずっしりとしたものを肩に感じますが、
暁庵としてはやるべきことをしっかりやって、社中のお一人お一人と誠実に向き合いたい・・・と。

新年のセレモニーの後、もう一度席入後の茶事に戻り、
「どうぞお入りを」から始まりました。

初炭になり、香合のことを書いておきます。
初釜のために骨董好きのN氏がお持ち出しの香合は古染付の開扇香合です。
古染付は、17世紀の明時代末期に日本の茶人たちの注文によって中国・景徳鎮民窯で焼かれたものですが、
開扇香合は少し大ぶり、蓋につまみがあるので蓋向うの注文だったかもしれません。

蓋表にはのどかな山水画、胴には花が散りばめられています。
虫食いのある白い陶肌の青の色合い、茫洋とした味わいが何とも言えません・・・。
江戸初期から茶人に愛玩されてきた香合に敬意を感じ、古帛紗(江戸時代の打掛裂)を出して拝見しました。
香は松涛(松栄堂)です。

                       
                             書院に飾られた古薩摩の水注ぎ 

いよいよ懐石になりました。
茶席「K」に決めたのは、前回、こちらでN氏が名残の茶事をした折に懐石が好評だったことと、
客方には本懐石の食事作法、亭主方には給仕や挨拶を経験してもらいたいと思ったからです。
期待通りの懐石を美味しく有難く頂戴しました。

縁高が運ばれ、主菓子は菱はなびら餅(横浜・日ノ出町の打出庵大黒屋製)です。
打出庵さんは京都・川端道喜で修行されたそうなので、だいぶ小さめですが、
餅が薄く柔らかく白味噌餡がとろけるよう、その絶妙な美味しさに感激!しました。

「どうぞお菓子をお召し上がりください。
 お菓子をお召し上がりになりましたら、席を改めますので
 先ほどの腰掛待合へ中立をお願い致します」
「それでは中立をさせて頂きますが、用意が整いましたらお鳴物でお知らせを・・・」
「ことによりましてはそうさせていただきます」
(日頃の稽古の甲斐があり、会話もスムースでヨカッタです・・・ 


初釜の茶事の懐石献立 (平成29年1月18日)
  福茶   結昆布梅
  つぼつぼ 紅白なます
  向付   鯛昆布〆細造り赤貝添え 黄菊 岩茸 山葵 
  汁    白味噌仕立て  小豆麩  青菜細々
  煮物   蛤真蒸  芽蓮草 椎茸 紅白短冊  柚子
  焼物   鰤辛子幽庵焼き
  炊合せ  海老芋  鶉団子  青菜
  預鉢   春菊の胡麻和え
       五色和え  蓮根 人参 軸蓮草 水前寺のり 蟹 金糸卵
  小吸   のし梅  松の実
  八寸   伊勢海老  ちしゃとう
  湯香   こがし湯  沢庵 白菜 しば漬


        暁庵の茶道教室の初釜 in 2017 ・・・(3)へ続く    (1)へ戻る

        暁庵の裏千家茶道教室   前へ    次へ    トップへ

暁庵の茶道教室の初釜 in 2017 ・・・(3)

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                                  白梅が咲いています

銅鑼が7点打たれ、後座の席入です。
ここからお役が交代し、正客Fさん、詰N氏、半東Yさんは濃茶と薄茶の後半に四客へ入っていただきました。

床の中釘に梅と椿(関戸太郎庵)、箆筒のような竹の花入に生けられています。
はじめて御目文字する関戸太郎庵、Fさんのお持ち出しです。
大きな愛らしい桃色の蕾、今まさに開かんとする風情が初釜にぴったりでした(写真がないのが残念!)。

関戸太郎庵は江戸中期高田太郎庵という茶人が愛好した椿で、高田家から尾張の豪商関戸家へと伝わり、
現在は犬山市常満寺に古木があるそうです。

暁庵が島台茶碗で社中の皆様に濃茶を二碗練って差し上げました。
島台で濃茶を練るのは初めてなので、ちょっと心配でした・・・。
でも半東Yさんが直前まで茶碗を温めてくださったし、湯相も好く、しっかり練ることが出来ました。
1碗目は3名様、2碗目は4名様でしたが、多めだったので最後に暁庵が頂戴しました。
多少ゆるめにしたのですが、最後になるとどうかしら?
・・・心配しながら最後の一啜りまで飲み干し、安堵しました。
茶銘は松花の昔、小山園詰です。

島台は、内面に金と銀の箔を置いた大小の楽茶碗で、縁起を祝う茶事に重ね茶碗として使われます。
実は水屋に島台が三揃いもあり、金銀の箔がとれていなさそうなものを選びました。
島台には約束があって、小の茶碗の内側は銀箔、五角形の高台は鶴を表わし、
一方、大の茶碗の内側は金箔が置かれ、六角形の高台が亀を表わしているとか。

茶入は利休瀬戸写(膳所焼)、仕覆は大燈金襴、共に初めての嬉しいお出会いです。
大燈金襴は大徳寺開山・大燈国師(宗峰妙超)の袈裟裂と伝えられています(異説もあり)。
茶杓は、大亀老師作の銘「好日」でした。

                        
                         淡桃色の一重、筒咲の関戸太郎庵椿

後炭となり、釜が上げられると、思いの外炭が残っていました。
初掃きで社中一同が炉を囲み、Yさんの手元を見詰めます。
胴炭をそのまま残し、炭斗から輪胴を灰器へ除き、匙香、湿し灰が撒かれました。
あとはいつもの後炭の通り逆に炭が置かれていき、点炭が置かれても皆一緒に炉辺にいたいような・・・。

干菓子が運ばれ、薄茶になり、座は少しくだけて賑やかになりました。
干菓子は、打出庵大黒屋製の干梅煎餅と雪華、こちらもお勧めです。
濃茶の労をねぎらって、Yさんが点ててくださった薄茶をゆっくり味わいました。
濃茶の後の薄茶って、すっきりと爽やかで、本当に美味しいですね。

主茶碗は唐子が独楽で遊んでいる絵が描かれた、正月らしい華やかな京焼、真葛香斎造です。
替は粉引でしょうか、ユニークな形状の味わい深い茶碗で、作者は田村耕一(人間国宝)です。
二碗ともN氏のお持ち出し、茶碗を代えてYさんとKさんのお点前で薄茶タイムが和やかに過ぎていきました。

こうして、2017年の初釜が目出度く終了しました・・・皆様、ありがとうございます。
頂いたメールですが初釜の記念に記します。

                        
                                 紅梅がきれいです・・・
 Tさんより
本日は初釜&初稽古に参加させて頂きまして、誠にありがとうございました。
また、途中退席してしまい申し訳ございませんでした(おかげさまで娘のお迎えも間に合うことができました!)
本日は、暁庵先生を始め、社中の皆さまのお点前の美しさに大変感激いたしました。
またお茶室のしつらえやお料理、お道具等の素晴らしさに、お茶の知識がほとんど無い私ではございますが、大いに感性を刺激されることがたくさんありました。
お茶を学び始めて本当によかったと思える1日でございました。
本当に未熟な私ですが、今後ともご指導よろしくお願い申し上げます。


 Kさんより
昨日は、お初釜の席で皆様と新年をお祝い出来たことを大変嬉しく思いました。
又、薄茶のお点前をあの場所でさせて頂いて貴重な経験を持つことも出来ました。
本当に有難うございました。
先生からの手作りの楊枝入れも大事に使わせて頂きたく思います。
今回特に懐石をあの様なやり取りで進んでいるとは全く知らなかったので、各々の所作がとても勉強になりました。
このような経験が今は小さな点でしかありませんが、いつかひとつに繋がる事を目標に、
日々のお稽古を大事にしていきたいと思いますので、本年もご指導宜しくお願いいたします。


        暁庵の茶道教室の初釜 in 2017 ・・・(2)へ戻る    (1)へ戻る

        暁庵の裏千家茶道教室   前へ    次へ    トップへ

東京教室の初釜 in 2017 ・・・・その1

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1月25日はS先生の東京教室の初釜でした。
東京教室の皆様と共に、この日を鶴首の思いで待っていました。

床には見事な結び柳と、「梅 雪裏春」のお軸が大徳寺棒に掛けられています。
大徳寺第512世・法谷浩明師の書です。
皆で読むのに四苦八苦でしたが、「うめ せつりのはる」とS先生に伺って、
まだ雪は降っていないけれど、折しも稽古場の外には春を思わせる陽光の中、白梅が咲き、紅梅が真っ盛りです。
その梅に雪が積もった情景が目の前に広がってくるようでした・・・。
花はツクバネと白玉椿です。

   

新年のご挨拶を交わした後、すぐにS先生の濃茶の初点となりました。
毎年、初釜のために茶道具と主菓子を関西から運んできてくださって、
社中一同、これが初釜の二番目の楽しみなのです。
一番目はもちろん、S先生のお点前です。
そして、三番目は・・・後ほど。

最初に主菓子「菱はなびら餅」(末廣製)を頂きました。
京都から運んで来てくださった先生に感謝し、柔らかな白い羽二重餅にピンク色が美しく映え、袱紗ゴボウ、とろとろの白味噌餡に感激しながら頂戴しました。

点前座には、真塗の及台子に染付八角の皆具、中棗が置かれていました。
障子を閉め、少し室内を暗くして、落ち着いた雰囲気の中、台子濃茶点前が始まりました。
皆、固唾をのんで先生のお点前を見詰めています。
先日の教室の初釜での台子点前を思い出し、途中から先生と一緒にお点前をしているような、不思議な気分を味わいながら拝見しました。

ぷ~んと茶香が満ち、一碗目が出されました。
すると半東IB氏が袴捌きも爽やかに濃茶を正客Kさんに運びました。
Kさんが一口頂くと
「御服加減はいかがでしょうか?」
「大変美味しゅうございます」
お二人の問答の間に半東IB氏は水屋に温めて準備していた二碗目の茶碗を持ち出し、道具畳に置きました。
挨拶を終えられた先生がその茶碗を取り込み、再び点前を続けます。
こうして、三碗目まで点てられたのですが、点前座のS先生と半東IBさんの呼吸がぴったりで、もううっとり見惚れていました。

                   

私は二碗目の古萩茶碗で頂きました。
程よい濃さでしっかりと練られた濃茶は飲みやすく、たっぷりとまろやかなお味の濃茶を吸い切りました。
濃茶は、たしか尾道の今川玉春園の「白寿」だったと思います(お二人の呼吸や所作に夢中で・・・)。

茶碗、茶入、茶杓は先生のお持ち出しです。(つづく)


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東京教室の初釜 in 2017 ・・・・その2

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(つづき)
S先生がお持ち出しくださった茶碗を初釜の記念に記しておきます。

黒楽の主茶碗は大好きな一入作でした。
手に取ってじっくりと拝見出来て、なんて幸せなことでしょう。
程よい大きさの茶碗は形や作りに一入らしい味わいがあり、内側の寂びに歴史を感じます。
一入独特の朱釉が隠れるように胴に在り、「隠れ蓑」という不休斎の命銘がニクイです。

二碗目は古萩です。
井戸形の茶碗の内側が遠目に白蝶貝のように輝いて、手に取るのが楽しみでした。
どなたの銘かわからないそうですが、銘「富士」とある箱書を見せて頂きました。

三碗目は赤楽茶碗で、当代・15代楽吉左衛門作です。
当代作と言えば、暁庵が熱望しながら、叶わぬ夢とあきらめた楽茶碗です。
近づく者を遮って聳え立つ茶碗ではなく、穏やかで飲みやすい形の茶碗でした。
赤楽ですが、黒から灰色のグラーデーションを思わせる灰釉が美しく掛かり、流石、当代の作です。
胴のヘラ目も好ましく、手に取ると驚くほどの軽さでした・・・「好いなぁ~(ため息!)」
また、初釜できっと出会えますように・・・・。

                    

茶入と茶杓も素晴らしいものでしたが、香合について書いておきます。
炭手前が無かったので、書院に香合が荘られていました。
濃茶の最後に香合も回してくださって、手に取って拝見することが出来ました。
10代旦入作の銘「鶴のたまご」(淡々斎の花押、箱書)です。
蓋の上部にベンゼン環化合物のような亀が描かれていて、目出度く鶴亀になっていました。

濃茶が終了し、薄茶は全員が薄茶を頂き、点てる員茶之式で行いました。
毎年、当番の班が楽しいアトラクションを考えてくださるので、こちらも楽しみでした。
皆さま、素晴らしい着物と帯をお召しなので、順番に点前座に座り、薄茶を点てる様子が何とも美しく、うっとり・・・。
初釜の三番目の楽しみとは、華やかでしとやかな薄茶の点前なのです。

員茶之式では十種香札の代わりに「上毛かるた」が使われました。
「上毛かるた」とは「群馬県のかるた」です。
小学生が郷土をよく知り、愛するようになってもらいたいと作られたものだとか。
群馬県の歴史上の人物、名所、名産等が読み込まれていて、群馬県人の郷土愛を感じるかるたでした。

S先生とIB氏も参加し、亭主はTさん、札元はYさん、目付はTさんです。
群馬県人・Yさんのお読み上げで、最初にOさんの「な」の札が当たりました。

    「な」中仙道しのぶ安中杉並木  (なかせんどう しのぶあんなか すぎなみき)
       
              
    中仙道の杉並木
     安中市を通る旧中山道の両側に1㎞にわたって見事な杉並木があった。
     江戸時代、宿駅を設け、一里毎にえの木を植え一里塚と並木が作られた。

最後に暁庵の「う」が当り、仕舞い花を務めました。

    [う] 碓氷峠の関所跡 (うすいとうげの せきしょあと)

              
    碓氷峠
     日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の伝説に名高い峠で、関東地方の北西を押えているので、
     昔から要地として知られた。中仙道がこの峠を通り、峠の下の横川に関所があった。

「上毛かるた」を楽しみながらワイワイ過ごした薄茶の後に、松花堂弁当と吸い物を頂戴し、お開きになりました。

末筆になりましたが、S先生、皆さま、2017年もどうぞ宜しくお願いいたします。


        東京教室の初釜 in 2017 ・・・・その1へ戻る

奥の細道会の初稽古・・・節分 in 2017

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                              浮田一恵筆「中古懸想文之画」 (山田雙竹模写)


2月3日は節分、奥の細道会の初稽古でした。

節分と言えば、京都では左京区・聖護院の近くに住んでいたので、一応、須賀神社の氏子でした。

江戸時代、京の風俗行事として懸想文売りが京の街々で懸想文(縁結びのお札)を売り歩いていました。
一説によると、貧乏なお公家さんの内職(アルバイト?)だったとかで、
烏帽子に水干姿で梅の木に文をつけ、覆面をして売り歩いたと言われています。

                       
                                須賀神社 縁結びお守り 「懸想文」

今でも聖護院近くの須賀神社では節分の日だけに懸想文売りが現れて、「懸想文」のお守りを売っています。
「懸想文」の名から恋文を連想しますが、縁談や商売繁盛など人々の欲望を叶えてくださる、有難いお札だそうです。
「懸想文」を鏡台の引き出しに入れておくと、顔や姿が美しくなり、
箪笥の引き出しに入れておくと、着物が増え、ともに良縁に恵まれるそうです・・・(ちと遅いかも?)。
       
                       

さて、奥の細道会ですが、初稽古なので床の結び柳とお軸は正月飾りのままとし、水仙を生けてみました。
散歩途中の農家で購入したものですが、椿、梅、水仙などの花木が安価で売られていて大助かりしています。

その日はNさんがインフルエンザで急遽お休み、3名で奥伝に励みました。
最初に暁庵が真之炭手前をさせて頂きました。
香合は古染付写の辻堂香合、香は玄妙(山田松香木店)です。
羽根を浄める所作が身についておらず、清めるのを忘れがちで、大いに反省です。
もう一つ、後掃きの後に羽根は炉縁と炭斗の間に置くのですが、途中で思い出し、巻き戻ししました。
ここはポイントの一つと認識していたにもかかわらず・・・です。
頭ももちろんのこと身体がもっと自然に動くように・・・稽古しなくっちゃ!

                       

稽古不足を痛感しながらも、奥伝の点前を茶友と研鑽できる奥の細道会の存在が有難く思います。
皆さまも全く同じ思いのようで、身体と頭を総動員して稽古に集中し、心地良い緊張感が漂いました。

Aさんの真之行台子、Kさんの大円真と進み、やり遂げてから遅い昼食になりました。
厄払いの一献をお出しし、豪華に(?)出前で、寿司、茶碗蒸し、吸物を頂きました。
主菓子は「此の花」、中が粒餡のピンク色のきんとん(暁庵製)、濃茶は金輪(小山園詰)でした。

毎月は開催できないかもしれませんが、今年も奥の細道を一緒に歩んでいきたいものです。

「春は名のみ」の正午の茶事・・・(1)早春の花を探して

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                            早春の散歩道・・・尾長鳥に逢いました(茂みに隠れています)

2月11日の第4回お茶サロン・「春は名のみ」の正午の茶事が迫ってきました。

お客さまはブログの募集を見て、勇気を出して応募してくださった6名の方々です。
頂いた自己紹介のメールを何度も読み返しながら、どのようにお迎えし、おもてなしをしようかしら?
あれこれ考えている時が亭主冥利に尽きる、心愉しき時間です。

その日は稽古が終わってから棚や茶道具を出して、点前の稽古をしてみました。
しゅんしゅんと沸く釜の湯音を聞きながら、どこかひっかかる箇所はないかしら?
客座へ座ってみて、床や点前座の様子を確かめたり・・・。
この道具組を変えるとしたら?
足し算をするとしたら?
引き算をするとしたら?
一番心配なのは花と花入でしょうか。

                     
                      四手辛夷(しでこぶし)・・・早春の花です (季節の花300)
                     
茶事2日前に早春の花を探しに出かけました。
散歩道の途中で「四手辛夷(しでこぶし)」の最初のほころびを見つけ、一枝頂きました。
お目当ては蕗の薹です。
枯草に隠れている小さな蕗の薹を見つけた時の嬉しさ!
まさに「春」の足音をしっかりと聴いた思いです。
シャベルで深く掘って根付きの蕗の薹を3個、八寸の天麩羅用に10個ほど蕾を採取しました。

                     
                           蕗の薹  (季節の花300)

茶事の前日、日本列島は大荒れ、西日本に大雪警報が出ていました。
今にも雪が降り出しそうな空を睨みながら、花探しと買い物へ車で出かけました。
先ずは散歩の時に目をつけていた「木五倍子(きぶし)の道」をめざします。
1週間前と変わらない、黒々とした花芽の木五倍子を見つけ、数本ゲットしました。
                     
                     
                       黒々と固い木五倍子(きぶし)の花芽
                     
                      木五倍子の花房・・・名脇役で大好きな花です (季節の花300)                    

矢指谷戸にあった「一里山湧水」が使えなくなったので、茶事や茶会の時には水を購入しています。
その日は「南アルプス天然水」6本入りの箱と白ワイン「甲州」を購入しました。

いよいよ花探しの仕上げです。
家の近くの公園で山茱萸の小枝を1本、ありがたく頂戴しました。
公園の端にあるその木は普段は全く目立たないのですが、3月になると黄色の花をいっぱい咲かせてくれます。
「まだ無理かしら?」と近づくと、小さな黄色の花芽がほころんでいました。
最後に庭のクリスマスローズ(雪起し)とピンクの乙女椿を1本ずつ切り取って、
蕗の薹、四手辛夷、木五倍子、山茱萸、クリスマスローズ、乙女椿・・・これにて採取終了です。

                     


午後になると雪がちらつきだし、うっすらと積もってきました。
明日の天気予報は晴れだった・・・と自分に言い聞かせて、せっせと茶事支度に励みました。 


           「春は名のみ」の正午の茶事・・・(2)へ続く

「春は名のみ」の正午の茶事・・・(2)一期一会のご縁

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「あらっ!」
茶事の朝、外を見ると、昨夜の雪がうっすらと露台に残っていました。
凍り着いた雪を融かすのが大変ですが、雲一つない青空に幸先の良さを感じます。

お客さまは6名様、正客Aさまは東京都墨田区、次客Kさまは千葉市稲毛区、三客Yさまは静岡県袋井市、
四客Iさまは神奈川県藤沢市、五客Wさまは川崎市麻生区、詰のMさまは東京都品川区からお出ましくださいました。
詰のMさま以外は初めての御目文字でしたが、主客とも緊張と期待に胸ふくらませて茶事の日を迎えました。

茶事にはいろいろなハプニングが付き物ですが(?)、
直前に五客Wさまが足を打撲され、長時間の正座が困難との相談を受けましたので
初座では喫架と椅子を、後座では小机と椅子を用意させていただきました。
どんなことにも動ぜず受け止め、最善をつくす亭主として心構えをお茶の神様に試された気がしました。
一番に申し込み、楽しみに待っていらしたWさまのお気持ちに添うことが出来て、ヨカッタ!です。

板木が打たれ、半東Fさんが甘酒をお出しし、腰掛待合へご案内しました。
いよいよ迎え付けです。
何とも言えぬ緊張感が漂い、一期一会の不思議なご縁が凝縮された一瞬です。

「どうぞお入りください」
席へ入り、改めてお一人お一人と挨拶を交わすと、もう旧知のような親密感が漂ってきます。
皆さまのお顔が柔らかく、期待と喜びで輝いていらしたのがとても印象に残っています。
代表していろいろお尋ねくださる正客Aさま、見事な正客ぶりが頼もしく、ご連客様も安心して座を愉しめたことでしょう。

                      

待合に「灑雪庵(さいせつ)」と書かれた額を掛けました。
京都で住んでいた町家・灑雪庵に掛かっていたもので、今日の茶事の趣旨を表わしています。

京都の町家は築年数不明、戸や壁の大きな隙間から風や雪が舞い込んできそうな古家でした。
それで「灑雪庵」と名付けました。
戸の隙間から降り灑ぐ(そそぐ)雪を愛でる風流心を大切にしたい、その心を忘れぬようにしたい・・・と。

床の掛物は、「春水満四澤」(しゅんすいしたくにみつ)足立泰道老師の御筆です。
降った雪が早や融けて、大地を潤していく水音に春の足音を感じます。

茶事次第は、席入、初炭、懐石、菓子、中立、後入、濃茶、続き薄茶(二服目は員茶にて)です。

特筆すべきは懐石でしょうか。なんと!暁庵と半東Fさんの二人で作り、お出ししました。
思いばかりで身体が思うように動かぬ暁庵に代わり、Fさんが獅子奮迅の働きで助けてくださいました。
お客さまのお口に合ったようで安堵しています(一番懐石が心配だったかも・・・です)。
写真を撮る余裕は全くなく、記念に懐石献立を記しておきます。

                       
                                主菓子の「早春賦」  
                      
                                干菓子の「うぐいす煎餅」と「早蕨」


主菓子は「早春賦」、干菓子は「うぐいす煎餅」と「早蕨」、いずれも打出庵・大黒屋製(横浜市日ノ出町)です。


「春は名のみ」の茶事の懐石献立 (平成29年2月11日)
  汲み出し  甘酒(しぼり生姜)
  つぼつぼ  紅白なます
  向付    蕪蒸し  聖護院蕪  鯛  銀杏  白茸  山葵 
  汁     白味噌仕立て  蓬麩  大根  
  煮物椀   蟹真蒸  菜の花  人参  花麩  柚子
  焼物    銀むつ西京漬
  炊合せ   海老芋  鳥団子  椎茸  青菜
  預鉢    芹の胡麻和え
        根昆布  椎茸
  小吸    のし梅 
  八寸    鴨ロース  蕗の薹の天麩羅
  湯香    こがし湯  沢庵  赤カブ  千枚漬
  酒     越乃寒梅
  ワイン   ルバイヤート甲州シュール・リー(・・・らしい)

ワインは、旅行計画中のMさまを引き留め、詰をお願いしたので特別に用意したものです。
Mさまから次のようなお褒めのメールを頂き、嬉しいです。

梅の季節に合わせ『越乃寒梅』『梅酒』の間に『ルバイヤート甲州シュール・リー』がとても美味しく、
お酒をあまり召し上がらない暁庵様の取り合わせは、素敵でした。


       「春は名のみ」の正午の茶事・・・(3)へ     (1)へ戻る


「春は名のみ」の正午の茶事・・・(3)一座建立の心意気

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                                木五倍子、山茱萸、四手辛夷、蕗の薹
                                花入は揖保川焼、池川みどり作です
(つづき)
全員が初対面の茶事であっても、一座建立の心意気さえあれば、とても素敵な茶事になる
・・・日頃思っていることですが、「春は名のみ」の正午の茶事がピタリ当てはまりました。
全員の心意気が一つになって、美しくもはかない夢のような早春のひと時でした・・・。

お心こもる後礼のメールを頂戴し、嬉しく何度も読み返しました。ありがとうございます!
茶事の思い出に3通を掲載させて頂きます。

 正客Aさまより

昨日は茶事にお招き頂きまして、誠に有難うございました。
何もかも、お心のこもったおもてなしに深く感激しております。
まるで夢のようでございました。
時の経つのも忘れ、すっかり長居をいたしまして申し訳ありませんでした。

初対面であっても、同じ茶の道に進む者であれば、お互いの思いやりによって、
「和敬清寂」の一座建立がなされるのだと、暁庵様に教えて頂きました。
未熟な正客にもかかわらず、温かく受け止めて頂き本当に有難うございました。
これからは、亭主にもなって茶の道を歩んでまいりたいと存じます。
そしていつか暁庵様を拙宅にお招き致したいと思っております。
どうぞこれからも宜しくお願いいたします。
誠に略儀ながらメールにて御礼申し上げます。       Aより

                      

 三客Yさまより

11日は心のこもったお茶事にお招きいただきありがとうございました。
~ 春と聞かねば 知らでありしを ~
まだまだ寒い日々の中で 春を待つ「今」を楽しんだ1日でした

露地を歩けば 昨夜の雪が 少しずつ白からキラキラ透明な玉になっていきます。
それはそれは美しくて 見入ってしまいました。
掴めばすぐに消えていくキラキラが今日の一期一会の喜びと儚さの様です。
初炭のどっしりした胴炭とたっぷりの炭が
「どうぞごゆるりと」と雄弁に歓迎を伝えてくれて
お炭のもう一つの役目を発見しました。

ご亭主に時間とお手数をたくさんかけてもらった懐石は
見た目も美しく おいしく 心も体も温まりました。
そして「時にあらず」と「声を立てなかったうぐいす」の代わりに みんなで鳴いて面白かったです。
八寸は千鳥ではなく うぐいすとなりました。
楽しいうぐいす徳利と猪口のご用意ありがとうございました。

後座の床は 壁にかかった露が 美しく弧を描き 
まるで 山の風情で 山居にいる様でした。
いざ濃茶 亭主の真摯なお点前に 客一同誠心誠意で答える緊張感、
こんな茶会に来たかった  ・・・ 今来ています・・・・・幸せです

お薄の二碗目は主客入り交じり お茶を点て合い、
初対面の方々と 気持ちがとけ合ったように感じました。
お見送りをいただき 返礼で目を落とした先に
キラキラの珠が解けているのが見えました。
また一期一会の言葉が聞こえ 胸が熱くなりました。

暁庵さまのお心入れに あらためて 深く感謝し お礼を申し上げます。
そしてまた そのお考えにとても共感しております。

ご準備から当日、それから片付けと休むいとまがないと存じますが
どうぞお体をおいとい下さいますようにお願い申し上げます。
またいつかお会いできますように        Yより

                      

 詰Mさまより

昨日は美味しい懐石、お酒、ワイン、お菓子をご用意して頂きまして
とても美味しくお茶を頂戴させて頂きありがとうございました。

炊き立てのご飯、お汁、温かいかぶら蒸し、美しい真薯のお椀、焼き魚、たくさんの預鉢
どれも美味しく感動しました。
二俣川産のふきのとうの天ぷらはとても嬉しかったです。

暁庵様の茶の湯サロンでは初めてお会いする方々との出会いがいつも楽しみで
今回も皆様が初対面とは思えないくらい、駅での待ち合わせ時から既に知り合いだったかの様な
親しみを感じ、お茶事の間は和気あいあいとした時間でした。
暁庵様の趣向を凝らしたサロンでとても楽しい一日でした。
うぐいす徳利で盛り上がり、突然の参加型のちょっとドキドキのお席がまた楽しかったです。

暁庵様はきっとお疲れの事と思います。
まだまだ寒い日も続きますので、お身体大切になさってください。
そしてまた楽しいサロンのお誘いお待ちしております。        Mより
   

      「春は名のみ」の正午の茶事・・・(2)へ戻る     (1)へ戻る

五葉会の初稽古 in 2017

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2017年2月17日は遅ればせながら五葉会(七事式の勉強会)の初稽古でした。
1月はお休みだったので2ヶ月ぶりの五葉会を一同、とても楽しみにしていました。
それに、初稽古と言うことでランチは豪華(?)にお寿司、これも楽しみでした。

床の掛物は「春水満四澤」、足立泰道老師の御筆です。
科目は、仙遊之式、投込花月、昼食後に香付花月です。

                   


仙遊之式は廻り花から始まります。
花が少ない時なので集まるかしら?と案じていましたが、早春の花をたくさんお持ち頂き感謝です。
花入は萩焼の耳付にしました。
毎回、FさんとKさんがノートに記録してくださっています。

 仙遊之式

   桃  雪起し               宗厚
   桜  黒ぼうし     三       宗悦
   桃  姫辛夷      一       宗里  二
   桜  木五倍子          東  宗曉  一
   黒文字  金魚葉椿  二   半東 宗智  三

客方は花を入れる前に次客へ「お先に」、先客が戻ってきたら「上げさせて頂きます」と挨拶しますが、
東は戻ってきた三客へ「上げさせて頂きます」と挨拶してから半東へ「お先に」、
半東は東が戻ってきたら「上げさせて頂きます」とだけ挨拶します。
ワンパターンの挨拶でないところがポイントの1つです。
「どうぞお水を」は正客が言います(且座では東)。

                   
                              黒文字と金魚葉椿

炭は本炭所望、三客が炭を継ぎます。
香になり、正客と次客が本香と次香を焚きました。
折から障子に春の陽光が射し、庭の梅の木の影が映って墨絵のようです。
伽羅ともう1種の香を聞き回しながら、優雅で平和なひと時を皆で歓び合いました。

ランチの後、暁庵の大好きな香付花月です。
嬉しい正客(月)が当り、香包み三種「初音」「春の雪」「雛まつり」より「雛まつり」を選びました。

                   

 香付花月之記
 
  雛まつり夜ごとさざめく吾が雛は
      身の丈三分ばかりなれども      宗曉

  床の間にひそりとおわす二柱(ふたはしら)
      雛のささやき心通いて         宗厚

  松風の 音に誘われ 雛まつり        宗智

  初孫の健やかなれと祈り込め
      家族で祝う雛まつりの膳       宗里

  桃花笑み雛の一行清くあり
      見守るように家族のように      宗悦

                    出香    宗曉
  香銘  雛まつり

最後に折据を回し、花を引いた宗悦さんが記録紙を戴きました。

五葉会では、わからないところは時に厳しく時にやさしく注意し合いながらやっています。
皆で知恵を出し合うのがなかなか面白く、時に宿題になったり、本で確認したりします。
「七事式は、良きお仲間と楽しく、とにかくやり続けることが大事」と思っています。
皆さま、今年も宜しくお付き合いください。 

 
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如月の教室だより・・・スウェーデンの生徒さん  その1

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スウェーデン在住のOさんが2月14日に再び来日しました。

Oさんは昨年4月から3ヶ月間、東京から熱心にお稽古に通ってくださいました。
1月末に嬉しいメールと写真が届きました。
スウェーデンの冬ならではの暮らしぶりやお茶を頑張っている様子が手に取るようです。

                  

 Oさんのメールより

2017年がもう1ヶ月過ぎようとしていますが、先生はいかがお過ごしでしょうか。 

ブログでの先生の詳しい説明に初釜の様子が手に取るように感じられます。 
素晴らしいお道具、懐石料理!   
日本は冬といっても椿や梅の花が楽しめるからこちらより暖かいのですね。 
今年はスウェーデンも温かい冬ですが、それでも湖には氷が張っています。

先週末孫2人を連れて、普通は夏だけしか使わないサマーハウスへ泊まりました。 
この家の中は暖房が入っていて暖炉もあるので寒くはありませんが、
トイレは外、水道もなく、かなり近代的社会からは程遠い感じです。 
テレビもないし孫達とゲームをし自然を楽しみました。 
私はあまり気が進まなかったのですが、連れと孫に一緒に来てくれと頼まれて・・・。 
湖の氷が薄いかもしれないから危ないと心配していたのに、湖をスケートで滑っている人達を見て何時間も外で遊んでいました。

                  
                        サマーハウスへ泊りました
                  
                        何時間も外で遊んでいました

私達の日本旅行出発もいよいよ2週間後になりました。 
2月14日に東京へ着きます。 
それで2月18日のお稽古へ伺わせていただきたいと思いますが、先生のご都合はいかがでしょうか。
ちょっと早いかなと思いましたが、東京へ着いてからより早めにお願いした方がいいかなと思い、メールを書いています。 
後のお稽古は先生とお会いしてから相談したいと思いますが、よろしくお願いします。

週末に日本人会の新年会があり、淡交会のメンバーでお茶を出す予定です。 
子供のために餅つきもあり、他にもどんな催しものが用意されているのか楽しみで、孫2人を連れていく予定です。 
5人の女の子の孫が皆一緒に行きたいといってますが、5人もおじいちゃんにお願いするのはちょっと大変だから2人だけ。
他の3人は来年ねと説得しています。 

日本でお会いできるのを楽しみにしています。 
社中の皆様へよろしくお伝えください。     Oより

・・・2月18日、Oさんがお稽古にやってきました!    (つづく)


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如月の教室だより・・・スウェーデンの生徒さん  その2

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                          お出迎えの桃の花・・・やっと咲き始めました(2月18日)

2月18日、変わらぬ穏やかな笑顔のOさんと7ヶ月ぶりにお会いしました。
洋服とばかり思っていたら、紫色の着物と同系色の帯をお召しです。
こちらで買って、娘さんの所へ置いて帰ったとか・・・。
早速、薄茶平点前と濃茶平点前をお稽古しました。
炉なので建水を持って座る位置が難しく、歩き方から何回かやり直しました。
それでも嫌な顔一つせず、目を輝かせて取り組んでくださる姿に感動します。

今回は1ヶ月しか滞在しないので、予め稽古内容の希望を伺いました。
・・・すると、
「一番の希望は炭点前です。スウェーデンでなかなかお稽古できないので。 
 後はもう少し考えてお返事いたします。 
 今回はツレも一緒なので孫の子守は任せて水曜日のお稽古にも参加させていただけたらと思います」

Oさんのヤル気とこちらでの稽古を楽しみにしている様子がびんびん伝わってきました。

                   

22日(水)はOさんの2回目の稽古です。
今日は紺系の紬の着物、帯も前回と違います。
着物はOさんの母上から譲られたものだそうですが、着物でのお稽古は所作が身に付くので大歓迎です。

ご希望だった初炭手前、もう一つは四ヶ伝の唐物をしてもらいました。
2月から教室に入られたばかりのTさんがOさんの稽古を熱心に見学しています。

炉の炭手前は灰器を持って最初に座る位置が難しく、何度かやり直しました。
灰器の扱い、羽箒の掃き方、湿し灰の撒き方・・・Oさんだけでなく、なかなか難しいようですが、
近道はなく、ゆっくり稽古を積み重ねて、身体に覚えさせることが大事だと思っています。

スウェーデンでも炭を焼いているところがあるとか。
日本の炭とは違うでしょうが、炭手前をスウェーデンでも挑戦してほしいです。
あと2回ほど炭手前を稽古していってくださいね。

                   

”春は名のみ”で外は冷たい風が吹いていますが、教室の中はポカポカと温かく、
時に生徒さんの熱気をあつく感じ、喜んでいます。

「養之如春」 (これを養う春の如し)
あせらずゆっくり歩んでいきましょう! (これは自分に言い聞かせる言葉です)


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Oさん夫妻を囲むミニ茶会

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2月14日にスウェーデンから来日したOさん夫妻が早や3月13日に帰国しました。
その間、娘さん一家の帰国の手伝いをしながらお稽古に熱心に通って来てくださいました。
帰国の日が近づいた3月11日に我が家でOさん夫妻をお招きし、お稽古を兼ねたミニ茶会をしました。
Oさんの御主人ホーカンさんとは初対面でしたが、とても素敵な仲の良い御夫婦でした。

             

13時に我が家へ集合です。
前日の五葉会で頂いた花がたくさんあったので、花寄せの趣向で皆で花を生けました。
先ずはOさん夫妻からそれぞれ花入を選び、思い思いの花を生けて頂きます。
ホーカンさんは青銅器「爵」に真紅の月光椿と八つ手のような葉を、Oさんは萩の耳付花入に乙女椿と蘭の葉を生けました。
社中最年少の5歳のしほちゃんもお母さんのTさんと一緒に初めて挑戦してくれました。
総勢8名があれこれ迷ったり、楽しんだりしながら次々と花を生けていきました。
八畳の広間に花と笑顔があふれ春爛漫になりました。

 


いよいよOさんの最終稽古、初炭手前です。
スウェーデンでは炭が入手しにくく、なかなか炭手前が出来ないとのことでしたので、
今回の来日では炭手前を一番の稽古科目とし3回目でした。
だいぶスムースに順番も所作もできるようになり、湿し灰をさらさらと撒いています。
ホーカンさんも奥さんのお点前を真剣に見守っていらっしゃいます。
香合は蕗の薹香合、拝見にお出ししました。

            
                      香合を拝見するホーカンさん

薄茶点前となり、しほちゃんがホーカンさんへ盆略点前で薄茶をお点てしました。
主菓子を運びだし、「お菓子をどうぞ」から始まりました。
1月から盆略点前を習いだして今日が3回目のお稽古です。
ホーカンさんへ薄茶を点てて差し上げるのをとても楽しみにしていたのですが、さすがに緊張したのでしょうね。
直前になると「どうしょう・・・」と、胸をどきどきさせていました。
お点前が始まると、落ち着いていつものように帛紗を捌き、棗と茶杓を拭き、茶筅通し、薄茶をシャカシャカと茶筅を振るって点てました。
その様子に暁庵も感動しましたが、全員が何か熱いものを感じたようです。
「・・・見ていて涙が出て来ました」とN氏。もちろん暁庵も・・・そして、お母さんのTさんもきっと・・・


            

            

Uさん、Kさん、N氏とお点前を交代し、皆で薄茶タイムを楽しみました。
主菓子は、おぼろ月夜(きんとん)、羽衣(椿の練きり)春の里(練きり)などで寿々木製です。
薄茶は松柏(丸久小山園)です。

            

17時から「ロード」というレストランへ移動し、ワインとイタリアンの夕食会です。
茶席では伺えなかったお話もホーカンさんとOさんからいろいろ伺えて、一層親しみが増しました。
社中の皆様もわいわいと楽しそう! こんなミニ茶会と食事会もたまには好いですね~。

「またどうぞ、いつでも日本へ暁庵へいらしてくださいね!」
温厚で素敵なOさん夫妻との御縁が嬉しいです・・・。
「Oさん!よくぞ暁庵の茶道教室の戸をノックしてくださいました!」


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壷中の茶事へ招かれて-1

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       巨勢山(こせやま)のつらつら椿  つらつらに
           みつつ偲(しの)はな  巨勢(こせ)の春野を
                          坂門人足(さかとのひとたり) (万葉集)


3月16日、S先生の東京教室で共に稽古に励んでいるYさまがお茶事へお招きくださいました。
Yさまとは帰りがいつもご一緒で、その日の稽古のことや茶事の話を電車の中でしていたのです。
Yさまが懐石を自分で作り、炉開きや初釜にお弟子さんを茶事でおもてなしすると伺って、
「是非、暁庵を茶事へお招きください・・・」とお願いしていました。
それを忘れずに今回お招きくださって、Oさま、Iさまと連れ立って、いそいそと出掛けました。

Yさま宅へ到着。案内のお手紙に随い、水の打たれた玄関を開け、寄付きの間へ入りました。
そこで身支度をしたのですが、幅一間ほどの時代のある箪笥が何とも気になります。
落ち着いた丹色の漆塗、しっかり打たれた金具も豪華で凝っています。
後でお尋ねするのが楽しみ・・・と思いましたが(正客を仰せつかっていた・・・)、これはほんの序の口でした。

「エレベーターで3階へ上がってください。3階が待合と茶室になっています」
いつも思うのですが、日常の生活空間をどのように茶席へ創意工夫していらっしゃるのかしら?
・・・家庭茶事が大好きな暁庵にはひとつひとつが興味深く、まさに茶事の醍醐味の一つと思います。
(小型エレベーターとバリアーフリーは今後検討したいテーマになりました)

3階の待合は水屋を兼ねていて屏風で上手に水屋を隠していました。
その屏風もたいそう古いもののようで、消息やら色紙やらが張り込まれています。
煙草盆、火入(古染付)、面白い形のキセルも時代があり、皆で感心して見惚れていると、汲み出しが運ばれました。
その日は暖かく、喉が渇いていたので(びっくりして、はしゃぎ過ぎ?)、白湯を美味しく頂戴しました。
栗型の盆には螺鈿で人物が描かれ、枇杷色の汲み出しは味わい深く象形文字のような字が胴に刻まれ、煎茶のものかしら?
我が家の簡素な盆や汲み出しを思い出しながら、なんて凝っているお道具ばかりなんだろう!・・・と。

            
                   (我が家の蕗の薹です・・・こんなに大きくなりました)

待合の前にベランダがあり、待合の窓から直接蹲が使えるように工夫されています。
蹲踞の水で心身を清め、いよいよ席入です。
席入すると、そこは六畳の茶室で一間の床の間に半間の脇床がありました。
床には「壺中日月長」の軸、霊空和尚の伸びやかな御筆です。
「今日はごゆるりと壷中でお過ごしいただければ・・・と存じます」とご亭主Yさま。

点前座には誰袖棚、そして素敵な四方水指と長棗が荘られていました。
「ご亭主様がそこにいらっしゃるような佇まいの長棗ですね・・・」とIさま。
そして炉には手取り釜ならぬ「薬缶」が掛けらえていました。
「今日は暁庵様のために釣釜で・・・と思いましたが、急に思い立って家にあった「薬缶」を釣ってみました」
その「薬缶」がもう!垂涎ものでした。  
御主人の実家が佐渡の旧家だそうで、「薬缶」は佐渡の金工師が手掛けたという蝋型鋳物です。
胴には見事な浮き華文があり、蓋のつまみは獅子、そしてなんとも味わい深い風格が・・・きっと代々大事に使われてきたのでしょうね。(つづく


            壷中の茶事へ招かれて-2へつづく

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