
「虫の音」 山本和夫画 (ツレの京都の水墨画の恩師)
例年ですと明月が楽しみな長月や神無月ですが、中秋の名月は10月4日でした。
後の月の十三夜は11月1日、十五夜は11月3日、なんとも間延びしてしまいそうな名月とブログアップですが・・・。
長月最初の稽古日は9月6日、Tさん、N氏、Fさんが張り切って(?)いらっしゃいました。
諸事情で久しぶりにいらしたTさん、風炉の平点前をしっかりお稽古しました。
それに長期間大変な日が続いていらっしゃるご様子なので、暁庵に居る時くらい肩の荷を下ろして、のんびりお茶を楽しんで頂きたい、お茶にしばし没頭して頂ければ・・・と思いました。
その気持ちはTさんへ伝わり、お茶を点てたりお茶をのんでゆったりする時間を楽しんでくれたみたいです。
「今日はお茶の持つ力を実感しました。お稽古に来れて本当にヨカッタです・・・」
帰り際のTさんの顔が晴れやかに、そして一際美しく見えました。
普段と異なる環境に身を置き、普段と異なる人と異なることをし、異なる会話を交わす(・・・そして自分自身の時間を実感する)・・・そんなごく普通のことだけれど、それによって癒しや活力をもらい、明日へ立ち向かう勇気が出て来ます。
いろいろな場面でお茶の持つ力を実感する日々です。

杜鵑(ホトトギス)を黒亀甲竹の花入に
10月末、風炉の最後のお稽古はTさんでした。
その日は薄茶平点前のあと、初めて濃茶をお教えしました。
もっと早くにお教えしたかったのですが、大変だった日々が一段落されたようなので取り組んで頂きました。
茶事の席でお客様として濃茶を喫んで頂いていますが、濃茶の稽古をすると、ご挨拶のタイミング、約束ごと(詰が飲みきりですするなど)など、客の心得が一層わかるようになると思います。
急がなくっていいですから濃茶を基本からしっかりお稽古しましょうね・・・・お教えするのが楽しみです。

それからもう一つ、家庭内の揉め事ですが・・・。
茶事の前に掃除や片付けなどの手伝いをよくツレに頼むことがあります。
気持良く率先してやってくれることもありますが、その日は虫の居所が悪かったのでしょうか。
「茶事は君の仕事で好きでやっていることなのに、どうして僕が掃除などを手伝わなきゃいけないのか・・・」と。
たしかに、狭く考えればおっしゃることはごもっともなれど、
「あらっ! たしかに茶事やお茶の稽古は私が好きでやっていることだけど、お客さんや生徒さんが我が家に来てくださるのはとても有難いことだと思いませんか。
他人様がいらっしゃるからこそ、普段より少しでも家の中を整理しよう、掃除しよう、気持ち良く過ごせるようにしようと思うし、そのお蔭で気になるところがきれいになっていくし、2人で元気に掃除出来ることが素晴らしい!と思いませんか・・・」
「・・・・・・ 」
YesともNoとも言わずに黙々と頼まれた仕事をやり出したツレ。
きっと何か感じることがあったようです。


翌日の茶事の準備はとてもスムーズに運び、ただ感謝です。

・・・これもお茶の神様のお力だと思っています。
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