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Channel: 暁庵の茶事クロスロード
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東京教室の初釜 in 2019 

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     白梅が満開でした・・・2019年1月31日撮影

睦月最後の31日(木)は、S先生の東京教室の初釜でした。

昨年は1月末に華紅のお祝いの茶会があり、全員で京都・吉兆へ出かけたので、2年ぶりの東京教室の初釜です。
9時半頃に稽古場に着くと、本堂の前の梅が満開でした。
今年は梅が早いようですので、桜も早いかもしれませんね。


   露地の敷松葉が美しく・・・

10時開始の予定でしたが、電車が遅れているそうで、皆さまが揃うのを待っていました。
皆さま、初釜らしい華やかな着物と帯をお召しなので、もうそれらを鑑賞するだけでも心浮き立つ思いです。
有馬・雅中庵の初稽古を皮切りに社中の初釜や正月を祝う茶事などが続き、なるべく毎回着物と帯を変えることで初釜への新鮮な気持ちを維持したいもの・・・とがんばりました。
この日は金茶色の扇地文のある無地紋付に、金糸銀糸の羽根模様のある水色の帯を結びました。
本当に贅沢なことですが、日本に生まれてお茶をやっていてヨカッタ!とつくづく感じる瞬間でもあります。



床には「春涛」の二字、
まだ寒のうちですが、白梅が満開となり、春の息吹がすぐそこまでやって来ています。
花は白椿と梅、花入は竹一重切です。

「あけましておめでとうございます
 今年もどうぞ宜しくお願いいたします」



ご挨拶を交わすと、決められた席へ移動し、すぐに「花びら餅」が運ばれました。
なんと!京都・川端道喜製の「花びら餅」です。
味噌餡が柔らかく、上品な美味しさが口いっぱいに広がり、あっちこっちで感嘆の声がしました。
先生のお話では、ゴボウが外に出ていない関東仕様だそうで、柔らかな味噌餡がこぼれにくくなっているそうです。
私たちのために京都からお持ち出しの「花びら餅」に、皆嬉しく感激しました。

S先生の濃茶の初点が始まりました。
今回はご住職が正客として加わってくださって、総勢15名になりました。
しーんと静まり返る中、S先生が襖を静かに開け、茶碗を運び出します。
その足運びや所作を24ならぬ30の瞳が真剣に見入ります。
建水が運ばれ、陶器の蓋置が定座に置かれ、柄杓を引き総礼。
いつもの濃茶点前ですが、一挙手一動、S先生の動きに自分の点前を重ねて拝見させて頂きました。
茶入の扱い、茶杓の清め、茶碗の拭き方、何1つとして見のがしたくありません。

ふっと先生が幽かなため息をつかれたような・・・小さな間違いがあったようです。
お点前に心を重ねていた私も安堵しました・・・誰にでも間違いはあるもの、大切なのはその時の気持ちと対処だと思いました。
先生はあわてずさらりと対処されたので、とても素敵なお手本になり心に留めています。



お点前中、一番驚き感動したのは濃茶を練る時でした。
暁庵は濃茶の時、きっとお客さまから長すぎるのでは・・・と思われるくらい、丁寧に長く練るように心がけているのですが、先生はそれ以上に丁寧且つ長く練っていらっしゃいました。
やがて嶋台が定座に出され、「どうぞ7人さまで」と声が掛かりました。

私は四客で頂戴しましたが、熱々でしかもしっかり練られた濃茶はまろやかな甘みがあり、美味しゅうございました。
濃茶の名前を失念しました・・・思い出したら書きますね。
もう一碗は8名分だったと思います・・・このへんになると集中力もすっかり落ちてきました。
茶碗は嶋台の鶴亀、十二代慶入作です。
茶入は瀬戸翁手の銘「玉津島」、茶杓は認得斎作の銘「杖」でした。
有馬・雅中庵での初稽古の折に用意されたお道具をそのまま東京教室の初点に持って来てくださったのです。
いつもですが、S先生の優しく素敵なお心遣いが有難く嬉しいです。



薄茶は全員で員茶之式、札は百人一首を使いました。
亭主は宗勝さん、札元は宗優氏、目付は宗美さんでした。
札元が百人一首の札を詠みあげるのですが、朗々とよく響く美声にうっとり、一段と優雅な雰囲気が漂います。
(内心、大好きな和泉式部の歌が当たることを願っていたのですが)終わりから3人目くらいで当たりました。
周防内侍(すおうのないし)の歌で、春の短か夜の夢に見た幻のような歌です。

   春の夜の夢ばかりなる手枕(たまくら)に
       かひなくたたむ名こそ惜しけれ     周防内侍


薄茶の後、三友居の懐石弁当と椀物を頂戴し、お開きになりました。

末筆になりましたが、S先生、皆さま、2019年もどうぞ宜しくお願いいたします。



如月の茶事支度

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今日はバレインタディです。
胸ときめかせてチョコレートを渡したことも遥か彼方にあったけれど・・・
今は心からの感謝を込めて2つだけ用意しました。
あとはお渡しするだけですが、今日中に間に合うかどうか?微妙です。



2月17日に茶事をします。
11月24日の口切の茶事以来、久しぶりですが、茶事をしていないと・・・ねぇ~ぇ!元気が出ませんの。
お正客さまは京都からお出まし下さるので、とても張り切っています。
だいぶ前から準備していたのですが、それでもいくつか悩んでいる事が有ります。

その一つは炭です。
茶事では懐石の八寸の頃に煮えがつくのが良いとされ、濃茶の時には一煮たちが過ぎて湯がねれている頃が良き湯相とされています。
冬季は乾燥しがちなので炭が熾るのが早く、炭の置き方を工夫してもすぐに煮えがついてしまいますので、もう少し贄がつくのを遅くするのが目下の課題です。
今回は、炭の洗い方と時期を考えてみました。
いつもなら1週間前くらいに洗うのですが、天気の様子を窺いながら4日目にし、しかも2時間くらいバケツの中に炭をしっかり漬けてみました。
今、炭を干していますが、良いのか悪いのか? 曇り空で寒いです。



もう一つは、初座と後座の掛物と花との関係です。
いつものことですが思い悩んでいたら、2005年「淡交」2月号に興味ある記述(「茶の湯の花」菱本芳明文)を見つけました。(以下抜粋します。詳しくは本誌をご覧ください)

古くは紹鴎の時代に、前席に掛物、中立でそれを巻いて後席に花を生けたという茶会記をときたま見受けます。
しかし、茶事が現在の形に整えられるのは利休居士の晩年です。しかも、それが確立されるのは江戸時代に入ってからと思われます。
怡渓(いけい)和尚などは「掛物は心法、花は慰みもの」と述べ、前席の緊張感を後座の花で解きほぐすのだと言いました。
一説には「前席は懐石で酒が入り、これが陽だから陰の掛物を取り合わせ、後席は茶が陽だから陰の花を生けるのだ」(江守奈比古著「茶の道具組」)という説明も見られます。
しかし、「草人木」には「人毎に始掛物、後花を定め心得るハ悪し、道具の前後は、亭主の心次第・・・」と述べられ、初座を掛物にするか、花にするかは、亭主の心まかせというわけです。・・・後略・・」



「亭主の心次第・・・」
いつもS先生から言われ、背中を押して頂いているお言葉でもあります。
その言葉にやっと合点がいきましたが、今考えなくっていつ考えるの?・・・もう少し考えて楽しんでみることにします

今日はこれから懐石材料の買い物へ出かけます。

梅香る正午の茶事・・・(1)

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   「梅香る」      (季節の花300提供)
 

2019年2月17日(日)に「梅香る正午の茶事」をしました。

今回のテーマは「梅」、我が家の梅がほころぶ頃なので先ずはいろいろな趣きで愛でてもらいたいと思いました。
席入りは11時。
立春を過ぎると、それまでの冬型の快晴が崩れ、毎日曇り空が続きました。
その日も朝から曇り、お日さまが出ていません。(どうしよう・・・)
祈るような気持ちで待っていると、11時近くにやっとお日さまが顔を出してくれました。
「ヤッタネ!」 

「梅香る正午の茶事」のお客さまは5名様、正客は京都で一緒に奥伝や茶事の研鑽に励んだSさま、次客OKさまと三客OYさまは東京教室のお仲間、若き論客の四客SSさま、詰は暁庵社中のN氏です。
親しくお付き合いさせて頂いている方々を大好きなこの時季にお迎えする喜びに浸りながら茶事支度に励みました

11時過ぎに詰N氏の打つ板木の音が聞こえ、半東Fさんが甘酒をお出しました。
汲み出しは、大学時代の同級生・青木念作の志野です。
待合の煙草盆は黒掻き合せ塗の香座間透かし、火入はオランダを思わせる白磁です。
有馬・雅中庵での初釜の帰りに寄った京都・東寺のガラクタ市の掘り出し物で、初使いでした。

待合の掛物は「早蕨と春風」の画賛、やわらかなお人柄を感じさせる淡々斎の御筆です。
春風にやさしく吹かれながら早蕨の画を見ていると、中国・唐代の詩人・白居易の「春風」の詩が頭に浮んできましたので、席入り後にメモを見ながらご披露しました。


   「早蕨と春風」の画賛   淡々斎筆


   春風    白居易     しゅんぷう     はくきょい
   一枝先發苑中梅       いっしまずひらく えんちゅうのうめ
   櫻杏桃梨次第開       おうきょうとうり しだいにひらく
   薺花楡莢深村裏       せいかゆきょう しんそんのうち
   亦道春風我爲來       またいうしゅんぷう わがためにきたると

(意訳)
 春風は先ず宮中の庭の梅の一枝を開花させる。
 ゆすらうめ・あんず・桃・梨がしだいに開花させる。
 山深い里では「なずな」の花を咲かせ、「にれ」のさやにも吹きわたる。
 すると私は、春風が私のために来てくれたのだと思う。



その日は天気も良く風もなかったので、ベランダの腰掛待合でしばしご歓談いただきました。
それでも寒さ対策に輪胴3個を入れた大火鉢で暖をとって頂き、蹲踞に湯桶を用意しました。
迎え付けで正客Sさまと無言の挨拶を交わし、口切の茶事以来2年ぶりの暁庵の茶事へのお出ましに熱く込み上げるものがありました。



障子に映る梅の水墨画を愛でて頂きながら、お一人お一人とご挨拶を交わしました。
水墨画が見えるように毛氈を敷き、対面席にしましたが、
「お見合いでしょうか?」とN氏の声が・・・皆さま、びっくりされたようです。
梅の水墨画が美しく映るのは11時~12時半頃まで、日月や時間、日照によってどんどん変化していくので、ほんのひと時の水墨画とのお出合いなのです。
運が良ければ、メジロ、シジュウカラ、ヒヨドリなどが飛んでくることも・・・。




本席の床は「處々鶯」、
「處々」とは「あちらこちらに」、または「来てはとまる」という意味で、
こちらの書も鶯がいまにも飛んできそうな趣きがあり、両忘庵・大木宗玄和尚の御筆です。

対面席で先ずは香を聞いて頂きました。
優雅な蒔絵の重香合は京都を離れる時に正客Sさまに頂いた思い出の御品です。
いつも火味が難しいのですが、その日はぴったり・・・半東Fさんに感謝しながら香を焚きました。
「甘く佳い薫りですね・・・お香は?」
「昔、鳩居堂で手に入れました伽羅で、香銘は「初音」でございます」


      梅香る正午の茶事・・・(2)へつづく   如月の茶事支度へ


梅香る正午の茶事・・・(2)

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(つづき)
香に続いて初炭です。
炉縁を羽箒で清めだすと、お客さまが炉近くに寄って炉中を拝見するので、炉中の灰の景色や下火に気を配ります。
特に下火は初炭手前の前に香が入るので黒過ぎず燃え過ぎず、赤々とした菊炭の美しさを見て頂きたいもの・・・と、下火を入れる時間や熾し方を塩梅し、席入り直前に濡れ釜を掛けました。

「如月の茶事支度」に書いたように「如何に火が熾るのを遅くするか」が目下の課題です。
茶事の4日前に炭を洗いましたが、一番迷ったのは胴炭の大きさです。
前回の箱根・玉庭の初釜の後炭で胴炭が3分の2まで燃え尽きたのを経験していたので、いつもより太目の胴炭を選び、密に炭を置いて行きました。



釜は霰唐松真形釜(和田美之助造)。
自分で褒めるのも何ですが・・・品の好い大きさの霰に唐松模様が優雅に映えるお気に入りの炉釜です。
炉縁は真塗(輪島塗)、炭斗は常盤籠(和田青竺作)、羽箒は梟です。
京都・壬生寺大念仏の焙烙(ほうらく、ほうろくとも)を久しぶりに灰器に使いました。





京都では2月の節分に壬生寺で素焼きの炮烙(ほうらく)を求め、「家内安全、名前、年齢」などを書き、寺に奉納する風習があります。
奉納された炮烙は、春と秋に行われる壬生狂言「焙烙割」で豪快に割られ、奉納者は厄除開運の御利益が得られるということです。
京都の節分の賑わいや壬生寺の壬生狂言が懐かしく、お客さまと京都の話しで盛り上がりました。


  気持ちが良いほど豪快な壬生狂言「焙烙割」


拝見に出した香合を取りに出ると、先ず炉縁正面に座り、帛紗を捌いて炉縁を清め、もう一度帛紗を捌いて釜の蓋を清め、蓋を切りました。
茶事独特のこの所作が好きで、真塗の炉縁を使うことが多くなっています・・・。
香合は金襴手横笛、松阪万古焼の佐久間芳丘作、香は薫玉堂の「花暦」です。



初炭を終えてから、元の待合へ動座して頂き、テーブル席で粗飯を差し上げました。
(テーブル席にしたのは、未だ膝や腰が本調子ではない亭主の軽減策です 

懐石終了後に主菓子「雪餅」(打出庵大黒屋製)をお出しし、中立をお願いしました。
(本当は、雪に梅の花びらが落ちる風情でお願いしたかったのですが・・・


    「雪餅」   打出庵大黒屋製

今回は手づくりの懐石ですが、献立を記録として記します。
懐石献立
   向付  鯛の昆布〆め  穂紫蘇  山葵  かけ醤油
   汁   蓬麩  白味噌   赤味噌  辛子 
   煮物椀 海老とホタテの真蒸 菜の花  椎茸  柚子
   焼物  ムツ西京漬
   預鉢  里芋(細生姜) 鳥の丸  鶯菜
   強肴  蛍烏賊  三つ葉  独活  酢味噌和え
   箸洗  松の実  
   八寸  鴨ロース  蕗の薹の天麩羅
   湯桶
   香の物 沢庵 野沢菜 柴漬 
   酒   雪椿
   (デザート  文旦のはちみつ添え)


   梅香る正午の茶事・・・(3)へつづく   (1)へ戻る    如月の茶事支度へ


梅香る正午の茶事・・・(3)

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(つづき)
銅鑼を7つ打ち、後座の席入りの合図としました。

床にはネコヤナギと椿(春のうてな)を揖保川焼花入にいけました。
花入は兵庫県龍野市の揖保川焼作家・池川みどりさんの作で、正客Sさまと一緒に池川ギャラリ-を訪ねたこともあり、思い出深い一品でもあります。



もう一つの花、古木に梅の花がほころんでいる屏風を広げました。
「初めて拝見しました・・・」とN氏。
この梅の画は亡母から譲り受けた襖絵を4曲の屏風に仕立て直したものですが、年に数回この季節に広げています。(今年も広げることができてヨカッタ!・・・)



座が静まったのを見計らって、襖を開け、濃茶点前が始まりました。
「茶事は濃茶にあり・・・」と言われますが、主客共に緊張感のある大好きな時間です。
その日は、親しい皆様に温かく見守られながら、お点前をさせて頂きました。
帛紗を四方捌きしながら心を清め、美味しい濃茶を差し上げたい・・・と、気持ちを点前に集中させていきます。
・・・見守ってくださるお客さまと一体感を感じる得難いひと時でもあります。

心を込めて練り上げた一碗の濃茶ですが・・・
「お服加減如何でしょうか?」
「美味しく頂戴しております」
ニッコリ微笑んでお応えしてくださるSさまにホッと心が和みました。
濃茶は「慶知の昔」(小山園詰)です。

茶碗は白楽茶碗、染谷英明作です。
「小鷺」と命名して愛用していますが、その日は「軒端の梅」といたしました。
京都へ家うつりした2012年3月初め、最初に訪ねたのが「東北院」でした。
その昔、和泉式部が愛でたという「軒端の梅」を見に行ったことを思い出しながら・・・。


   白楽茶碗「軒端の梅」   染谷英明作


後炭になり、どのような炭の景色かしら?・・・内心ドキドキしながら釜を上げました。
「まぁ~」と炉辺のお客さまから嘆声がもれました。
時が流れ、炭も流れていましたが、後炭の景色ははかなく美しい・・・。
案じていた胴炭ですが半分以上残っていたので、そのまま残し、輪胴を焙烙の灰匙の上に仮置きしました。
丸ぎっちょ、割ぎっちょ、丸管・割管・枝炭、点炭を継ぎました。
後炭のもう一つの魅力の水次、霰唐松真形釜を濡れ茶巾で肩からぽんぽん叩いていくと、
「ちょうど肩が凝っていたの・・・気持ちが良い」と言わんばかりにほのぼのと湯気が上がって来て、霰釜の好ましさを改めて思いました。

薄茶になり、茶道口に座りお客さまにお願いをしました。
「薄茶は半東のFさんにお願いしたく存じます。
 また、半東見習いのUさんを末席へ入らせて頂き、お勉強させてください」

煙草盆、干菓子が運び出されました・・・この頃、鶯が一羽飛んできたようです。
Fさんの薄茶点前(鶯点て)が始まりました。
薄茶は「金輪」(小山園)、干菓子は打出庵大黒屋製の「煎餅」と「鶯の雲平?」です。
薄茶席に入って行く頃には、とてもとても和やかな雰囲気でお客さま同士のお話が弾み、私もすぐその輪に入って行きました。
一巡後、二服目は半東見習いのUさんに点てて頂き、道具の拝見までお願いしました。

薄茶の主茶碗は高麗三島・銘「伊備津比女(いびつひめ)」です。
正客Sさまが三島大好きなので、これを選びました。
替茶碗は、雲鶴青磁・銘「玉帚(たまははき)」で初使いできて嬉しいです。

茶入は薩摩焼・胴締め、沈壽官作、仕覆は能衣装裂、小林芙佐子仕立です。
薄器は几帳蒔絵の大平棗、中村宗恭作、
茶杓は聚光院の梅の古木で作られ、聚光院・小野沢虎洞和尚の銘「東北(とうぼく)」、川本光春作です。




いろいろ書き足らない事ばかりですが、今回はこのへんにて・・・。

素敵なお客さまとのひと時は奥深く心愉しく、今でも思い出すとかけがえのないひと時でした。
・・・そんなお出逢いが嬉しく、茶事を続けているのかもしれません。
ご来庵いただき、ありがとうございます!
お客さま、スタッフの皆さま、これからも末永くお付き合いいただけると嬉しいです。  


   梅香る正午の茶事・・・(1)へ戻る   (2)へ戻る    如月の茶事支度へ


再び・・・お茶のご縁ってステキ!

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  (床に雪柳、白椿、蕗の薹(我が家産)をいけました)

ある日の午後、電話がありました。

それは福井県にお住いのF氏からで、
「出張で今、東京にいます。明日ご都合がよろしかったら、横浜のお宅へお寄りしたいのですが・・・」
「Fさん・・・よく覚えていますよ。午前中にお稽古があるのでどうぞ見学にいらしてください。」

F氏との最初の出逢いは京都・灑雪庵でした。
当ブログが100万頁に達した記念茶会「京都の春を惜しむ茶会」(2014年4月29日)を催した際に福井県から参加してくださったのです。
横浜へ戻ってすぐの2015年6月20日に再び暁庵を訪ねてくださいましたが、それから早や4年近くが経っていました。
でも、忘れずに電話してくださったのがとても嬉しく
「よくぞ思い出して電話してくださいましたね。
 Iさんがいらっしゃいますが、見学と薄茶一服を楽しんでください」


    待合の「春水」の色紙    森下隆子作

その日はIさんの稽古が入っていました。
Iさんは12月に入門された方です。
仕事の都合で月1回しか来れませんが、熱心に通って来てくださっています。
その日は初めて炭手前をして頂き、丸卓で薄茶点前の予定です。
午後からクロスロード茶会の打ち合わせがあったので、社中Fさんに早目に来てもらい総勢4人になりました。


    立ち雛香合・・・香は「梅ヶ香(松栄堂)」です

「左利きなので炭が上手に持てず、炭手前は苦手です・・・」と言っていましたが、
暁庵から見ると、違和感なく上手に炭を持てていました。
きっと陰で人知れず努力を重ねていることでしょう・・・でも、それが嬉しいしステキです。


    半泥子の茶碗で・・・F氏の薄茶点前

Iさんの薄茶点前が終わり、時間があったのでF氏に薄茶点前をお願いしました。
「三溪園・春のクロスロード茶会」に向けてN氏からお預かりしている茶碗をお見せし、その中の一碗(半泥子を選びました)で点てて頂きました。
姿勢よく基本をきちんと身に着けられたお点前は気持ち良く、拝見する暁庵も背が伸びる思いで見守ります。
「もう少しゆっくり・・・」
「はい!」
皆、F氏の薄茶を半泥子の茶碗で飲みたかったので3服点てて頂き、最後に御自服して頂きました。


     「のりこぼし」  (石井製)

点前中いろいろお話が弾みましたが、一番印象に残っているのはF氏から伺った福井県小浜市・神宮寺の「お水送り」のお話でした。
お菓子に「のりこぼし」(旭区都岡・石井製)をお出ししたので、東大寺二月堂の「お水取り」のお籠りやお香水のこと、小浜市神宮寺の「お水送り」の行事に皆で想いを馳せました。

Fさん、ステキなご縁をありがとう! またお茶飲みにいらしてくださいね。  


「お水送り」(「ええやん!若狭の國」より抜粋)
 3月12日に奈良東大寺二月堂で行われる「お水取り」に先がけて、毎年3月2日に行われる小浜市神宮寺の「お水送り」は、奈良と若狭が昔から深い関係にあったことを物語る歴史的な行事です。
 奈良東大寺二月堂のお水取り(修ニ会の「お香水」汲み)は全国にも有名な春を告げる行事ですが、その「お香水」は、若狭鵜の瀬から10日間かけて奈良東大寺二月堂「若狭井」に届くといわれています。

 「お水送り」は午前11時、下根来八幡宮で営まれる山八神事から行事はスタート。神宮寺僧と神人がカシの葉に息を吹きかけ、手を交差させて後ろに投げます。これは、体内に宿った悪霊を振り払うためです。それから赤土をお神酒で練ったものをご祈祷してからなめて、残り土で柱に「山」と「八」の字を書き込みます。

 午後1時からは神宮寺境内において弓打神事。紫の装束に身を包んだ氏子代表が古式にのっとり、30メートルほど離れた的に向けて弓を放ちます。
 午後5時半ごろ、白装束の僧がホラ貝を吹きながら山門をくぐり入場します。
 午後6時からお堂で修二会を営み、「だったん」の行へ。7メートルもあろうかと思われる巨大松明を「エイッ、エイッ」とのかけ声とともに振り回します。
 いよいよ大護摩に火がともされると、炎が水面に燃え広がったようになります。住職が送水文を読み上げ、邪気払いをし、香水を遠敷川に流す。香水は10日後、奈良東大寺の「お水取り」で汲み上げられます。


    暁庵の裏千家茶道教室   前へ    次へ    トップへ

3人が出稽古にやって来ました!

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     玄関先の紅梅


3月4日(月)の昼過ぎ、チャイムが鳴りました。
ちょうど炭を熾していた時だったのでツレに出てもらうと、
「N先生社中の者です。
 今日は出稽古に参りました。よろしくお願いします」
という元気な声が聞こえ、「出稽古」と言う言葉がとても新鮮でした。

「出稽古」といえばお相撲さん。
他所の相撲部屋へ出向いて稽古をすることを「出稽古」といいますが、大好きな大相撲の3月場所が明日(10日)から始まります。


  秋の春草廬・・・「三溪園・春のクロスロード茶会」の濃茶席です
  (前の大きな石は東大寺の伽藍石(がらんせき)だった・・・と思う)

「三溪園・春のクロスロード茶会」の濃茶席(春草廬)には、恩師・N先生の愛弟子3人(O氏、T氏、Iさん)に応援を頼みました。
それで、2回目の暁庵への「出稽古」にやって来たのです。
本番さながらにカッコいい袴姿のO氏とT氏、素敵な着物をお召しのIさん、その着物姿から熱い御心がヒシヒシと感じられて、一生懸命お教えしなければ・・・気持ちが引き締まります。
こちらも本番とほぼ同じ道具揃えで稽古に臨みました。

それから、暁庵社中のN氏に助っ人(?)をお願いしました。
男性2人の点前や所作を一緒に見てもらうためですが、先ずはN氏に模範の濃茶点前をして頂きました。
所作や間合いなどを客席に入ってじっくり見てもらい、N氏の点てた濃茶を味わって頂きました。

続いてO氏とT氏の濃茶点前です。
台目出炉・点前座の座り方、袴の捌き方、茶杓の清め方、柄杓の持ち方など、いろいろ注意が飛び、「出稽古」の良さと厳しさを味わったことでしょう。
全員がどの役でも出来る様にと、水屋や案内をお願いしているIさんにも濃茶点前を稽古してもらったので、びっくりしたかも・・・です。



点前も大事なのですが、一番大事なのはお客さまに美味しい濃茶を差し上げ、楽しんで頂くことです。
お互いに点てた濃茶を飲みあい、練り加減、濃さ、味、量、温度などを評価してもらいました。
暁庵も相伴しましたが、熱くよく練れていて美味しかったです・・・。
O氏、T氏、Iさんの一生懸命な姿勢が素晴らしく、心の中でただもう感激しましたが、
「まだまだ稽古不足です」などと申しました。
茶会までの短い間ですが、自分自身の点前や所作など「茶道点前の三要素」を磨く良い機会と捉えて稽古に精進してほしいと願っています。

たくさんの回数を積み重ねることで、きっときっと身に着く何かがあると思いますので・・・。

「出稽古」や「クロスロード茶会」を通じていろいろな経験をして頂いて、今までと一味違うものを体得してくださると嬉しいです・・・。


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弥生の五葉会 in 2019

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  花台にいっぱい春のかおりを載せて・・・三友之式


   春の苑紅にほふ桃の花したでる道に出で立つ乙女     大伴家持

3月8日(金)は五葉会でした。
上記の歌の如く、紅にほふ花を手に手に乙女たちが集まり、七事式を修練しました。
その日は思いがけず見学者があり、経験者でしたので席中に入って頂きました。
科目は廻り炭之式(釣釜にて)、結び帛紗花月、三友之式です。

廻り炭之式では埋火をし、その埋火で火を熾すのが目下の課題です。
10時過ぎに開始なので8時頃に炉に炭(胴炭他ほぼ初炭と同じに)を置き、炉中(灰)をしっかり暖めておきました。
亭主はFさん、暁庵は正客でした。
1年ぶりの廻り炭之式ですが、亭主が置いたすべての炭(胴炭を除く)を引き上げるのに苦戦しました。握力がすっかり衰えているのです。
いつも1月になると廻り炭のために泥縄で始める握力増強の訓練だけでは間に合わなくなりました。
1年通してやらなくては・・・と猛反省。何かを成すには継続する努力が必要ですが、飽きやすく訓練がなかなか続かないのであります・・・
五葉会では毎年廻り炭之式を修練しているので、皆さまスムースに炭を上げたり置いたりでき、継続することが大切と思いました。


  亭主Fさんが下火を巴半田に上げています・・・廻り炭之式

さて、注目の埋火ですが、亭主Fさんが掘り出し割ってみると、かすかに火色が見えて一同大感激!
これを大事に育てることにしました。
ところが、次の結び帛紗花月が終わっても炉中は暗く、火が熾るのに時間が掛かりそうです。
昼休みに釜を上げ、消し炭を足すとウソのように火勢がつき、湯が沸きました。



午後は三友之式です。
三友之式は、十三代圓能斎によって好まれた式で、花を入れ、香をたき、薄茶を点てるところから名づけられました。
とても優雅な式なので、五葉会の素敵なメンバーとの一交をいつも楽しみにしています。
記念に三友之式の記録を記します(全員薄茶を飲めるように6服点にしました)。

      三友之式

  白梅         二  宗曉  三
  青銅・爵

  水仙 椿          宗陽  五
  萩耳付

  雪起し 椿     五三  宗里  一
  古瓦

  椿 雪柳 南天  月 六  宗悦  二
  小代焼

  山茱萸 日光椿    一  宗厚  六
  揖保川焼掛花入

  椿 雪柳       四主 宗智  四
  鉄燈明台







 月を引いた宗悦さんが香を焚いています・・・三友之式

4月の五葉会が諸事情で休会となり、今年度最後の五葉会でした。
5月から新年度が始まりますが、新しいメンバーが加わることになりそうです・・・。
気持も新たに体力増強と維持に努め、五葉会を頑張りたいです。皆さまとご一緒に 

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花月の会のお仲間を募集しています。

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「花ゆう会」(かゆうかい)のお仲間を募集しています
                
「五葉会」(七事式の勉強会)とは別でして、「花ゆう会」は花月を中心に七事式(最終目標)を修練する会です。
2018年5月19日に第1回・花ゆう会が始まり、皆で楽しく勉強しています。(前回の募集記事)
この度、欠員が出ましたので1名様を募集いたします。
特に資格はありませんが、楽しく回数を重ねて花月を修練して参りましょう。 
(なお、来年度の「五葉会」の欠員募集はございません)

先ずはメールにて暁庵までお申込みまたはお問い合わせくださいませ。
(お名前、住所、連絡先電話、簡単な茶歴、花月や七事式の経験の有無など、お知らせくださると嬉しいです)
メールアドレス:akatuki-ane@grace.ocn.ne.jp


                
「花ゆう会」の概要をお知らせします。
不肖暁庵がご指導させて頂きます。 (参考:暁庵の茶道教室のHP)
暁庵社中もご一緒させて頂き、5~6名で修練します。

募集人数: 1名様
日時:1年間(5月~翌4月)に全9回、原則第4土曜日(第3土曜日に変更有) 
13時集合~17時
(初回は5月15日(土)、6月29日(土)、7月27日(土)、8月、11月、1月は休会予定)
    
場所:暁庵宅 (横浜市旭区今宿 相鉄線二俣川駅下車)

内容:花月の研鑽(毎回3科目)
○ 花月を中心に基礎をしっかり勉強していきましょう。
○ 平花月、炭付花月、濃茶付花月、貴人清次花月、軸荘花月、香付花月、
  投げ込み花月、結び帛紗付花月、且座之式、三友之式など
 (基礎が出来てから四畳半花月、貴人清次濃茶付花月、茶通箱付花月を追加予定)

会費:1回4千円(内訳:会費3000円+水屋料1000円)
   
期間:5月より翌年4月まで
  (1年毎に継続の確認をいたしますが、2年継続できる方を希望します)

募集期間:3月14日~3月31日(日)まで(決まり次第、募集を終了させて頂きます)

素敵なご縁がありますようにお待ちしております
きっときっと・・・新しい世界が広がると思います・・・  
 
    
追伸:募集終了についてはこの追伸欄にてお知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。


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千住博展(高野山金剛峯寺・襖絵完成記念)・・・そごう美術館

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しきりに誘うものがあった。
なにもかもどこかに追いやって四国路を踏みしめたいという思いが年を追って深まっている。
そう思いながらも一方で、まだ機が熟さないというためらいがあり、なかなか踏み切ることができなかった。・・・後略

四国遍路のバイブル、辰濃和男著「四国遍路」(岩波新書)の冒頭の一節です。
「四国をまわりたい」病がむずむずと頭をもたげだした昨今のある日、そごう美術館で開催中の「千住博展」へ行きました。
昨年7月はじめに「アートをめぐる旅」の途中、直島の家プロジェクトで初めて千住博氏の作品「ザ・フォールズ」に出合い、いつか軽井沢千住博美術館を訪れたいもの・・・と思っていましたが、横浜で作品が見られるというのでツレを誘って出かけたのです。

入ってすぐに千住博の世界へ惹き入れられました。
高野山金剛峯寺奉納襖絵「瀧図」(5枚)と「断崖図」(4枚)が広い空間にゆったりと展示されていて、私を一気に異次元空間へ連れて行ってくれました。
それは、以前歩いた四国路で出合ったさまざまな経験や事象であり、それらを飛び越えた向うに弘法大師・空海(お大師様)の偉大で身近な存在(同行二人)がありました。


    「龍神Ⅰ・Ⅱ」   (撮影許可あり)
 (蛍光塗料を使っているので、明るい所では白い滝)

再び、辰濃和男著「四国遍路」から
 空海が山で得たのは、野性の生命力であり、自分が宇宙という生命体の一部だという認識だったろう。
雷雨があり、嵐があり、長雨の日々もあったろう。木々の萌える季節もあれば、日照りの続く季節もあったろう。
その自然界の移ろいのすべてが宇宙観の礎になった。


四季の「瀧図」の水の冷性に心身を清められ、断崖図」の前の腰掛けに座り、長い間飽きもせず眺めていました。
すると、焼山寺への遍路道を一人歩いている自分が脳裏に浮かんできて、「断崖図」の雲海の中から今にもお大師様が現われるような気がしました。
「遍路ころがし」と呼ばれる焼山寺への遍路道、びっしょり汗をかき、喘ぎながら魅了された、空と山と風と雲と木々と岩と・・・雄大な光景や自然が奏でるサウンドを体感した、あの時ほどお大師様を身近に感じたことはありません・・・。





    「龍神Ⅰ・Ⅱ」  (撮影許可あり)
(蛍光塗料を使っているので、真っ暗な中でブラックライトを当てると、青く輝く)

弘法大師開山の金剛峯寺、長年白襖となっていた大主殿の「茶の間」と「囲炉裏の間」に「断崖図」と「瀧図」の襖絵が奉納され、その完成記念の展示会に巡り合ったご縁に感謝です。
和紙(?)に胡粉を塗り、乾いてから揉み紙にして「断崖図」の質感や量感を工夫したエピソードや、「瀧図」の斬新な描き方など、千住博氏によって解説される制作工程のビデオも興味深く必見です。
「断崖図」の襖絵を開けると、奥の間(茶の間?)に「瀧図」の襖絵があり、その中心の滝の向こうに千住博氏が出逢ったお大師さまがいらっしゃるそうです・・・。(ステキですね 




高野山金剛峯寺 襖絵完成記念「千住博展」
 
  2019年3月2日(土)~4月14日(日)  開館時間:10時~20時
  そごう美術館(会期中無休)
    構成 1.高野山金剛峯寺奉納襖絵
       2.龍神
       3.千住博の歩み 1980-2018


泥縄ですが、和巾の稽古をしています

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 散歩の途中、大欅が切られているのに遭遇・・・「痛いだろうな・・・」


S先生の東京教室の稽古が来週に迫ってきました。
「和巾」の御指導をお願いしています・・・
頭の片隅に「稽古をしなくっちゃ・・・」という気持ちは強くありましたが、つい延び延びになっていました。

「クロスロード茶会」の準備と社中の稽古で気忙しく、気持ちが集中できなかったということもありますが、一番は稽古をして逆に膝や腰がもっと悪くなったらどうしよう・・・という恐怖心があったのです。
「その時はその時・・・」と思い切り、稽古を開始しました。

先ずは順番、位置、所作(茶道点前の三要素)に気を付けながら1回してみました。
自分で身体を動かしてみると、いろいろな所が気になりました。
和巾の扱い方、濃茶を茶碗に入れるときの茶杓、中次、蓋の扱い方、拝見の清め方、最後に拝見物を持って帰る所作など、いろいろと駄目だしが多く、夕食後にもう一度してみることにしました。

深更の茶室、障子を開け放ってガラス戸に自分の姿を映し、姿勢や所作を時々チェックしながら進めました。
2回目なので、身体が和巾の点前に馴染むようになりましたが、別の身体の方が悲鳴を上げはじめました。今は2回までが限度かしら?


  彼岸桜と木五倍子(きぶし)が満開です

それでも久しぶりの稽古に充実感を覚えました。
「あっちこっち痛いんだけれど、それでも稽古が出来たことが嬉しいし、稽古が出来たことが本当に有難いわ・・・」とツレに報告すると、
大きなマメが足裏に出来てしまい、泣く思いで四国を遍路していた時、ある方に言われたそうです。
「宿に着いたら、痛みを嘆かずに「有難う!おかげさまで今日も歩くことが出来ました」と、痛む箇所をさすり言葉に出して感謝しなさい」と。
・・・「本当にそうだなぁ~」と思います。
頑張ってくれた足腰にもう感謝です。有難うございました!





夜更けに松風を聴き、練香の薫りが漂う中、独り稽古に精出す・・・とてもよい時間を持つ事ができました。


第8回花ゆう会を終えて

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 花は日向水木(ひゅうがみずき)、木五倍子(きぶし)、朴半(ぼくはん)


3月23日(土)は第8回花ゆう会でした。
昨年3月にブログで会員募集をし、5月19日の第1回から月1回稽古を積み重ねてきましたが、早いもので4月27日(土)の第9回を残すのみとなりました。

花月初心者を対象にした会なので、花月の足運び、花月札の扱いなど基本から学んできました。
本を読んでいるだけではわからないことも多く、実際にやってみることが重要なので、毎回3科目に取り組んでいます。
最初は内心「どうなることやら・・・?」でしたが、積み重ねていくと、確実に花月のあれこれが身について行くのがよくわかり、毎回が楽しみでした。
それに、花月経験者のN氏、WTさん、KTさんがしっかりサポートしてくださったおかげでもあります(アリガトウ!!)。


   黒一点、N氏のお点前

その日は、炭付花月(釣釜にて)、結び帛紗花月、投込み花月です。
参加者は、N氏、Hさん、Kさん、Uさん、KTさん、Sさんです。
来年度から花ゆう会へ入会されるSさんが見学に来てくださったので、早速、花月に入ってもらいました。

Sさんは「花月の会のお仲間を募集しています」に応募してくださった方ですが、とても不思議なご縁を感じました。
暁庵の第3回お茶サロンの参加者で、なんと花ゆう会の3名(Hさん、Kさん、Uさん)がそのお茶サロンでSさんと一緒だったのです。
さらに、お茶サロンのご縁でHさんとSさんが親しく交流していることも知り、とても嬉しく思いました。



毎回、炭手前を入れるようにしていますが、釣釜で炭付花月をしました。
結び帛紗花月では帛紗の結び方を皆で何回もやってみたり、仕舞い花がお水一杓の時に帛紗腰を忘れたり・・・。
投込み花月では花の人が月に当たったりして面白く、総礼&座がわりがスムースにできるようなったと感心したり・・・。

暁庵にとって花月を教えることは初めてだったので、私のほうが教えて頂くことが多かったように思います。
そして、毎回、終了後に届くステキな葉書が背中をしっかり押してくれました。
Hさん、いつもありがとう! 

 
  暁庵さま
  本日もご指導ありがとうございました
  三科目が終わった時
  「時間ありますから平花月をやりますか」
  と問われて初めて、六名でしたのに早くできるようになったこと、
  実感しました。
  来月もよろしくお願い申し上げます   
               かしこ  Hより


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「春のクロスロード茶会」薄茶席のリハーサル

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  前の公園にある「私のさくら」が満開になりました(4月6日撮影)


4月13日(土)に横浜三溪園で「春のクロスロード」茶会を開催します。
春草廬(濃茶席)と蓮華院(薄茶席)の二席ですが、どちらも暁庵お気に入りの茶席です。
お客さまと茶会スタッフを合わせて総勢50人、ブログからも15名様が応募して下さり、感謝しております。

今日は茶会のために稽古に励んでいるフタッフのあれこれを書いておきたいと思います。

仕事をしながら茶の湯の稽古をしている方が多いので祭日を選び、3月21日(木・祭)に薄茶席のスタッフが集まりました。
皆で顔を合わせ、当日の打ち合わせやリハーサルをするためです。
暁庵と入門したばかりのSYさんが客になり、受付やクロークで担当のTさんとHさんに荷物を預け、茶室へ入りました。

最初の点前はKTさん、席主はN氏です。
席主挨拶のあと、干菓子が運ばれ、点前が始まりました。
KTさんのお点前が粛々と進む中、時々ストップがかかり、水屋方との打ち合わせが入ります。
半東が2碗目の茶碗を出すタイミング、水屋から3碗目の茶碗を点てて持ち出すタイミングなどを話し合いました。



  散歩道のさくら・・・畑の中に突如素晴らしい桜並木が現われます
  (4月7日に撮影)

続いてKさんとUさんにお点前とお運びの稽古をして頂きました。
6畳の広間ですが、狭いので中に入るお運びは一人だけとか、リハーサルをしてみて変更することも多かったです。

通常の茶会ではお点前さんが2服を点ててすぐに仕舞い付けをしますが、今回は小寄せの茶会なので3服まで点ててはどうかしら?と議論になりました。
まだ末客が薄茶を頂いていないうちにお仕舞にすることが多いのですが、そこまで急いで仕舞い付けにすることもないのでは?と思ったのです。
少人数の良さで薄茶も道具拝見も時間の許す限りゆっくり(?)して賞味して頂ければ・・・と。

薄茶席席主のN氏とFさんが当日と同じ茶道具を準備してくださったので、稽古をすることで馴染みながら覚えて頂きました。
特に茶碗は7名のお客さまに合わせて7椀が出るので覚えるのが大変かも・・・・・・・・



最後に薄茶席の席主N氏から次のような質問が・・・・
「先生、クロスロードってどういう意味ですか?」
咄嗟に「クロスロードは交差点という意味です」と答えましたが、いえいえそうではございません・・・。
ブログの名前を「暁庵の茶事クロスロード」としたのは、暁庵の茶事がお客さまと暁庵、さらにお客さま同士の御出会いの場になれば・・・と願ってのことでした。
「クロスロード茶会」が新たなご縁、再会のご縁、お客さま同士のご縁、スタッフ同士のご縁が結ばれる素敵な場になれば・・・と心から願っています。

茶会まであと6日となりました。
当日晴れることを仏前で祈りながら日々を過ごしています。

仕覆が届きました・・・

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       季節が進み、八重桜が満開です


三溪園「春のクロスロード茶会」が終わり、はや1週間。
そろそろ疲れも癒え(歳のせいか、なかなかでした・・・ショボン)、片づけも一段落したので茶会のことを書いておこうと思います。
先ずは茶入の仕覆から始めたいと思います。

茶会4日前の早朝、NYさまから仕覆と古帛紗が届きました。
ちょうどその日は最後の”出稽古”だったので、新調の仕覆を着た茶入で本番を想定した濃茶のお稽古が出来て、グッドタイミングでした。



去年の暮れにNYさまに薩摩焼(帖佐焼)の茶入の写真を送り、恐る恐る・・・仕覆を作っていただけないかしら? とメールしました。
すると、
その1
お仕覆の件、画像を拝見いたしました。
袋を掛けてあげたくなる茶入ですね。
1月に手術のため入院し、その後1ヶ月くらいは会社をお休みする予定があります。どうぞ、ご心配は不要です。
お渡しは、ぎりぎりになるかも知れませんが、お預かりしたいと思います。
確かに間道が合いそうですね。
実際に、裂を当ててお茶入に相談してみないとわかりませんが、楽しみにしています。      NYより


        薩摩焼(帖佐焼)の茶入

その2
昨夜、お茶入確かにお受け取りいたしました。
お茶入には、我が家で年越しをしていただき、春までゆっくりして頂こうとおねがいしてみました。
どうか、よき年をお迎えくださいませ      NY。


・・・と言うわけで、手術の無事をお祈りしながら、茶入をお預けし春を迎えました。
ぶらり訪れたNYさまのブログに「初心に帰る」と題して仕覆づくりのことが書かれていました。
すぐに我が薩摩焼(帖佐焼)茶入の仕覆づくり・・・とわかり、毎回楽しみに仕覆づくりの工程(1~6まで)を拝見しました。
暁庵も以前仕覆を作ったことがあるので、NYさまと一緒に(気持ちだけ手伝って・・・)作っているような不思議な体験でした。
そして・・・何にも言わなかったけれど、術後で腕の動きが不自由だったことをこれもブログで知り、茶会に間に合うように作ってくださったNYさまの御気持に感謝でいっぱいになりました(・・・


      「シマモール」の仕覆を着た茶入

古裂コレクターでもあるNYさまが茶入と相談して選んでくださった裂地は、表地が「19世紀頃の東南アジア(明確な産地は不明)のシマモール(木綿)」、裏地は海気です。
「シマモール」がよくわかりませんでお尋ねすると、次のようなメールを頂き、なんとか茶会でもお話しできそうです。





その3
シマモールについてご説明致します。
実際に仕覆に使ったのは、モール部分ではありませんが、布端などはモールの構成になっています。モール+シマ+無地の構成です。
格子なのにシマ?と思われるかも知れませんが、格子模様も縞模様も総じて縞物と呼びます。格子は縞の一部なのです。
またこの縞物のシマは、島物のシマでもあります。
島とは、東南アジアの島から伝来したという気持ちが込められております。
そのため、シマモールと申し上げました。
これで、大丈夫でしょうか?
ぎりぎりになってしまって、申し訳ありませんでした。
本番がうまく運びますこと、こっそりお祈り致しております。    NY

NYさま
素敵な仕覆を作ってくださって、ありがとうございました!
天気にも恵まれ、皆様のお蔭で無事「クロスロード茶会」を終えることが出来ましたことをご報告し、感謝申し上げます。


三溪園・春のクロスロード茶会・・・(1)いざっ!出陣

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2019年4月13日(土)、ブログ開設10周年を記念する茶会を三溪園で開催しました。
その日は天気も良く、スタッフ一同と三溪園正門に8時30分に集合しました。
3台の車に茶道具を積み込み、全員が分乗して時速8キロで庭園内の駐車場へ。
折しも桜がはらはらと散りはじめ、木々の新緑で彩られた三溪園ですが、その素晴らしい景色を鑑賞する間も余裕もなく、春草廬と蓮華院に別れて茶会の準備に取り掛かりました。


  「いざっ!出陣」(最初にして最後の貴重な写真・・・)

たすき掛け姿の頼もしい方たちもいらして、一斉にそれぞれの役割分担をこなしていきます。
なんせ、春草廬(濃茶席)の第1席・曙席のお客さまが9時15分には待合(広間)へいらっしゃるので時間がありません。
先ずは荷物を春草廬まで運び上げ、荷を解く人。
炭を熾し、湯を沸す人。電気ポットに湯を沸かして持って来たので、これでだいぶ時間短縮ができました。
蹲踞を清め、水を撒く人。
私は床の設えの担当です。
待合の床に御軸を掛け、花を生け、毛氈を敷き、春草廬(三畳台目)の床に掛軸を掛け終わるころには、炉へ炭火が入り、釜が掛けられました。




水屋では箱から水指や茶碗などが取り出され、茶が掃かれ計量されて茶入へ。
水指が置かれ、茶入が置かれ、仕付け棚に大棗が飾られました。
水屋の様子を見届ける余裕もなく池さんと稲さんにお任せだったけれど、次々と手際よく準備がされていったようです。
一段落して水屋の外へ出ると、ご案内を待っていた曙席の五葉会のお仲間Akatsuki庵さまと顔が合い、嬉しくご挨拶を交わしました。



待合でお菓子を賞味して頂いてから蹲踞へご案内し、躙り口から春草廬へ席入りしていただきました。

春草廬には広間の前と小間の躙り口の前とに2つの蹲踞があります。
今回は京都天竜寺にあったもので、夢想国師が愛用したと伝わる苔むした蹲踞を使いました。
頂戴した後礼のメールや手紙に蹲踞の水音のことを書いてくださった方がいらして、嬉しいです・・・。(つづく)


     三溪園・春のクロスロード茶会・・・(2)へ


追伸)
SOS! 三溪園・春のクロスロード茶会のお客さまへ
ブログに掲載してもよろしい写真がありましたら、メールでお送りくださいませんか?
いつものことですが、写真が無く・・・・宜しくお願いいたします。 




三溪園・春のクロスロード茶会・・・(2)春草廬で濃茶を

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 風が吹くと大きな声を発しながら、春の香りを届けてくれるかしら?


茶道口で一礼すると「どうぞお入りを」の声が・・・第4・浅黄席


第1席・曙席、第2席・萌黄席、第3席・若緑席、第4席・浅黄席、第5席・藤紫席、第6席・山吹席そして最後の第7席・牡丹席はスタッフ席で総勢48名様(スタッフ含む)をお迎えしました。

半東O氏のご挨拶から第1席・曙席がスタートしました。

三溪園・春のクロスロード茶会へお出まし頂き、誠にありがとうございます。
ブログ10周年を記念する茶会ですが、暁庵先生はこの伝統ある春草廬で濃茶をお点てして、お客さまと共に春の一日を楽しみたい・・・ということで茶会を開く決意をされたそうです。
朝一番の曙席では九つの窓から清々しい朝の陽光が差し込み、鳥のさえずりが聞こえてくるかもしれません・・・。
どうぞ春草廬で濃茶をごゆっくりお楽しみ下さい。


   O氏の稽古中の写真です・・・

曙席と牡丹席の濃茶は不肖暁庵がお点てしましたが、濃茶点前はO氏とT氏、半東や案内はスタッフ全員(O氏、T氏、池さん、稲さん)で交代でして頂きました。
皆、一生懸命のおもてなしで・・・それが何より嬉しかったですし、2席目の正客I氏のお言葉が印象に残っています。
「緊張感のあるお点前を拝見していると、若き日の自分を見ているようです・・・」と。

茶香がぷう~んと薫り立ち、
「お服加減は如何でしょうか?」
「まろやかで大変美味しゅうございます」
・・・・その度に自分がお点てしたように胸を撫で下ろしました。
主茶碗は一入作黒楽、藪ノ内流7代桂陰斎銘「不老門」、替の飴釉茶碗は6代大樋朔太郎作、10代認得斎銘「松山」です。


 「灑雪庵」(さいせつあん)の御軸と花・・・待合(広間)

席中の特等席(九つの窓が見える)に座り、茶道具や春草廬のことをお話しさせていただきました。
待合(広間)の軸は「灑雪庵」(泉奏筆)、かつて3年ほど住んでいた京都・町家の土間に掛けていた額を軸荘しました。
床にイチハツと山吹を天平瓦写の花入に生けました。我が家は板床なので敷板が無く、京都で購入したミャンマー古寺古材らしき板切れを敷きました。


   「點笑」(てんしょう)の御軸 (自宅にて撮影)

本席の御軸は、「點(点)笑」(てんしょう)、「笑いを絶やさないこと」という意味だそうです。東大寺別当であられた清水公照師の御筆です。
なんて素敵な言葉でしょう! 
クロスロード茶会も、そして皆さまも私もこれからの人生がかくありたいものです。

床に東大寺大仏殿修復古材で作られた「一蓮弁香合」を桜の紙折敷に載せて荘りました。
原三溪翁が好きだったという蓮の花・・・、三溪翁を敬愛しておりますので三溪園の茶会では迷わず「一蓮弁香合」を使うことにしています。

後ほど会記を掲載します。詳しくはそちらをご覧ください。



一席ごとにお客さまが違いますので、同じようなことをお話しているのですが微妙に反応や空気感が違い、それが興味深く面白かったです。
特に初めて茶会で御目文字する6名様、きっと胸をドキドキされているのではないかしら? よくぞ勇気を出して参加してくださいました・・・と感謝です。
お正客さま、連客の皆様が盛り上げてくださっての一座建立。
どの席ももうもう楽しくて、少しでも長く春草廬に居てほしい・・・と思うほどでした。



もう一つ、春草廬の中から眺める窓の景色が素敵でした。
春草廬は古くは九窓亭と呼ばれ、九つの窓がある桃山時代(推定)の茶室です。
窓を2か所少し開けておきました。
木々の新緑が美しく、花もいっぱい咲いていますので、吹き抜ける風が季節の香りを届けてくれるかもしれません・・・。
刻々と窓からの光量や桟が生み出す陰影が美しく変化し、前にも書いたのですが、春草廬の息遣いのようなものを感じながら、茶会は進行していきました。(つづく)


参考に春草廬の概要を以前にブログに書いた記事から抜粋します

古くは九窓亭(くそうてい)と呼ばれ、大正7年(1918年)京都宇治の三室戸寺・金蔵院から譲渡されています。
桃山時代の建築と推定され、織田信長の弟・織田有楽の作と言われていますが、確証はないそうです。

三室戸寺にあった時は、伏見城遺構の客殿(現三渓園・月華殿)に付随する茶室でした。
原三渓はこれを切り離し、月華殿には茶室・金毛窟を建てました。
大正9年(1920年)三渓は、夫人と二人で住む白雲邸を建て、白雲邸に付随する形で春草廬を移築して、広間を新しく付け足しています。

大正11年(1922年)4月19日に春草廬披きの茶事を催しています。
客は益田鈍翁、益田夫人、田中親美、野崎幻庵、梅澤鶴曳。
その翌年、大正12年(1923年)9月1日に関東大震災がおこり、園内のたくさんの建築物が倒壊しました。

春草廬が再び茶会記に登場するのは昭和12年になってからです。
昭和14年(1939年)8月16日、原三渓翁が逝去(享年70歳)。

第二次世界大戦に際して解体保存されていた春草廬ですが、
戦後、三渓園を寄贈された横浜市は蓮華院を現在地へ移し、昭和33年(1958年)12月その跡地に春草廬が再築され、今に至っています。


 三溪園・春のクロスロード茶会  (3)へつづく   (1)へ戻る

三溪園・春のクロスロード茶会・・・(3)蓮華院の薄茶席と会記

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 ・・・やっと蓮華院へ着きました(蓮華院の歴史などはこちらへ

(つづき)
蓮華院の薄茶席のことをいろいろ書きたいのですが、春草廬(濃茶席)に缶詰状態だったので全く様子がわかりません。
それで、席主のお二人、中野宗等氏と藤田宗厚さんから頂いたメールを掲載します。


  「古筆百人一首切」 冷泉為相卿筆・・・蓮華院・本席
     おうけなく浮世の民におほふかな
         わが立つ杣(そま)にすみぞめの袖

     花さそう嵐の庭の雪ならで 
         ふりゆくものは我が身なりけり

     こぬ人をまつほの浦の夕なぎに
         やくやもしほの身も焦がれつつ


  中野宗等氏より

蓮華院・薄茶席のことを思い出すまま書いてみました。
竹巻煎茶葉盆に花筏の干菓子が運ばれてきます。薄茶席は濃茶席と違って明るい雰囲気です。
6畳の席に7~8名ゆったりと座り、歓談され、たいへん和やかな席になったと思っています。
濃茶席のあの凛と張りつめた小間の雰囲気から、蓮華院の土間待合のほの暗い世界から解き放たれるような茶席になったのでは・・・と。


  琵琶床に高麗狂言袴香炉、床に古染付の扇面香合

外では竹林が葉を揺らし、かろうじて残った桜が舞い、日頃の精進をほめるがごとく天気に恵まれました。
そして多くのお客様に接し、お話しし、お茶のご縁をつくづく感じ、感謝した・・・そんな三渓園での茶会でした。    合掌   



   薄茶席の芦屋釜と煙草盆

  藤田宗厚さんより
宗曉先生へ      
先日の「春のクロスロード茶会」蓮華院薄茶席の報告をいたします。
が・・・なんとまだ10日しか立っていないのに 
「あ~何とか無事に終わった」と思った途端に記憶が定かではなくなってボ~としています。
でも印象深いことは、本当に皆一丸となって、お客様に美味しい薄茶を差し上げるべく、それぞれの担当することをしっかりやり遂げたことと思われます。
幸い大きなアクシデントもなく、和気藹々と各席が進み、帰って行かれるお客様の顔や話し声も弾んでいたように思いました。
会話を交わす双方に、春の佳き日を賞で合いたいという気持ちが呼応して どのお席も「この時こそが一期一会なんだ・・・」と思いました。



薄暗い待合の土間席で少氏の時間ですがお過ごし頂き、本席に入られた時の床の間や琵琶床の設えに感動される方もいられて、土間席の扉を閉めて良かったです・・・。


       点前座の設え

薄茶茶碗の数々もそれぞれに面白味があり、種類が違うのにもかかわらず、何故か不思議な調和が取れていたようです。
社中一同で成し遂げた経験をこれからも活かして、益々茶道に精進して行きたく思いました。      
 




忘備録として濃茶席と薄茶席の会記を記します。

濃茶席(春草蘆)
待合(広間)
床  「灑雪庵」(さいせつあん)   泉奏筆 
花   イチハツ 山吹
花入  天平瓦写
敷板  ミャンマー古寺古材
主菓子   銘「さくら前線」(金団) 石井製(旭区都岡)
菓子器   漆器蓋物   
   
本席(春草廬)  
床   「點笑」(てんしょう)   清水公照師筆
香合  「一蓮弁」  東大寺大仏殿修復古材  鉄光造
棗    鵬雲斎好 三景棗  幸斎造     
釜    霰唐松真形釜  美之助造
炉縁   東大寺二月堂松明竹張  
水指   絵唐津  12代中里太郎左衛門(無庵)造
茶入   帖佐焼 銘「翁」  
仕服   裂地「シマモール(19世紀、東南アジアの縞)」  
主茶碗  黒楽 一入作 藪ノ内流7代桂陰斎銘「不老門」 
 替   大樋焼飴釉  6代朔太郎作 認得斎銘「松山」 
茶杓   後藤瑞巖和尚作銘「無事」
蓋置   古竹 
建水   古瀬戸沓形
御茶   坐忘斎家元好「松花の昔」 丸久小山園詰


薄茶席(蓮華院)

待合(土間)  鉄地透かし彫り観音菩薩像

本席(広間)
床    古筆百人一首切 冷泉為相卿筆95、96、97  
脇床   高麗狂言袴香炉     
花    藤
花入   竹尺八
香合   古染付 扇面

釜    芦屋 甑口 遠山桜菊地文
炉縁   輪島塗 七宝蒔絵 前志芸男造
風炉先  桜金砂金張
棚    淡々斎好在判 丸卓 宗哲造
水指   楼閣城桜花文 葉山有樹造 
    
棗    金地山水大棗 清瀬一光造
茶杓   又玅斎作銘 「寶船」
茶碗   古唐津  玄々斎銘「鳴海」
 替   絵唐津  川喜多半泥子作銘「水面」
     安南 ほか
蓋置   萩七宝透 13代陶兵衛造
建水   淡々斎好 モール
薄茶   「金輪」  丸久小山園詰
干菓子  「桜」(和三盆)「花筏」(煎餅) 打出庵大黒屋製(中区日ノ出町)
菓子器  鎌倉彫葉盆


三溪園・春のクロスロード茶会 (4)へつづく  (1)へ  (2)へ

三溪園・春のクロスロード茶会・・・(4)後礼のおたより

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      三溪園・臨春閣

(つづき)
お客さまから心温まる後礼のおたよりが届き、疲れが吹っ飛ぶ思いです。
いくつかをご紹介させて頂き、皆様に御礼申し上げます。

 五葉会・宗悦さま  
ご機嫌よろしゅうございます
この度は記念のクロスロード茶会にて素晴らしい時を過ごさせて頂き 誠にありがとうございました
曙席での皆様の凛とした気配が心地よく幸せなひとときでございました。

また帰路にては暁庵様の御縁で、これから三溪園でクロスロードするであろう皆様の、数多くの麗しいお姿が風に吹かれて集まり、また流れていく花々のように美しく感じました。
素敵な出合いをありがとうございました。      

  樋口さま 
暁庵さま
昨日はありがとうございました。
茶会は今までに体験したことのないものでした。
春草蘆という茶室、暁庵さまのお人柄、今までにたくさんの茶事茶会を経験されたであろうお客様たち。
三者が相まって醸し出すお茶会の雰囲気は、たくさんの決まりごとがあるにもかかわらずなんて自由で楽しいものなのでしょう!

席順のご配慮や名前を呼んでお声をかけてくださるなど、暁庵さまのお心づかいも大変嬉しゅうございました。

私はこの雰囲気をもっと味わいたくて目をつむって深呼吸をしてしまいました。
そして、お濃茶のまったりとした味わいは今でも舌に残っております。

お薄席に移ったころには、お客様たちともう何度もお会いしているような和やかな気持ちになりました。
終わってからも、なんだか去りがたくお一人お一人ともっとお話ししたい、そんな気持ちになりました。
そして、ああ、楽しかったと思わず声に出しておりました。
一期一会とはこんなことかしらと思った次第でございます。

それもこれも暁庵さまとスタッフの皆様のご尽力があってのこと。深く感謝申し上げます。
本当に参加してよかったねと同行の高橋さまとも語りあいました。

ブログはしばらくお休みとのこと。
とても残念ですが、今までの記事をもう一度読み返してみようと思っております。
いつかまたお会いできる日を楽しみにしております。    



 三日月さま 
暁庵様
先日は、好天に恵まれた素晴らしい御茶会に御招きいただき ありがとうございました。
この度は母も入院中でしたし、妹が仕事を休んで母の面倒を見てくれたので気の合う御仲間とご一緒に三渓園にお伺いすることができました。

それにしても春草蘆での御濃茶の美味しかった事!
絵唐津のすっきりした、それでいてどっしりと風格のある御水指。
きりっとされた若者の御点前がとても緊張されているのですが、綺麗な御捌きとお練加減で大変結構でございました。

御軸「灑雪庵」から始まり暁庵様のおもてなしが、きっと三日月には敷居が高いものであろうと考えておりましたが、御人柄そのままに、気品高いのですが、どこか?アットホームで嬉しかったです。
御道具類は、もとより素晴らしいものでしたが、大樋さんの飴釉の御茶碗の形がすっきりとしていて印象深い物でした。
できればずっと、あの小間で暁庵様とゆっくりとお話がしていたいと、いつまでも身をゆだねていたいほどの素晴らしい空間でした。

又、蓮華院のお薄席もたくさんの御茶碗でのおもてなし。
大きなお部屋にぴったりの御香合や可愛らしい御水指、金地の山水や滝が正面に見える大棗や七宝透かしの蓋置など咽喉から手が出そうなものばかりでした。

きちんとお仕事をこなされる御手伝いの生徒さま達にもどうぞ宜しくお伝えくださいませ。
心に残る春の遠征し甲斐のある御茶会でございました。
どうぞ早くお疲れが癒えますように!
又、御来阪の折には是非ご一報くださいませ。あばら家ですけれどお立ち寄りいただければ幸甚です。         





 Rさまより    
暁庵様
桜は色々な形で楽しませてくれますが、やはり舞っている桜吹雪が私は一番好きです。
先日は春の一日ゆったりとお招きをいただきましてありがとうございました。
ブログを教えて頂いてから私も毎回更新を楽しみにしておりました。
御同席の樋口様のように茶室の中で亭主とお客様が初対面、「初めまして」と言うのもとても新鮮で、まさにクロスロード。

南北東西どちらの方角にでも楽しみ醍醐味を見つけられる暁庵様のお茶の世界に、また参加させて頂けて新たな刺激を受けました。
九窓亭ならではの、どこか華やかなお茶室に再会が嬉しい不老門。
どっしりとした黒薩摩の茶入と大樋の茶碗、鮮やかな山吹、竹の炉ぶちも初めて拝見いたしました。

お正客様との和やかな会話もですが、お手伝いをしてくださっている社中の方々が皆さま上品でしっかりしていらして、暁庵様の周りの方々はやはり流石・・・と感心致しました。ご人徳でいらっしゃいますね。

蓮華院では可愛いお嬢様とお隣の席になりました。
私が初めてお茶会に参加したのもちょうど同じ頃、叔母に連れられて三溪園ででした。
懐かしさと、又新たに感動をいただいた春の一日、本当にありがとうございました。

何とか13日の茶会が終わるまで待って頂いて、今入院中です。
検査をしなくてはならないポリープが有り、簡単な手術をいたしました。
点滴をしながらなので こんなお手紙で気持ちの半分も伝わらず申し訳なく思います。
どうぞお疲れがでませんように・・・・。
またお目に掛かれますのを楽しみにしています。     

(お手紙を拝読して飛び上りました。
検査のことを伺っていたのに忙しさに紛れて忘れていたのです。
入院を伸ばして茶会へ駆けつけてくださったRさまの御気持に感謝しながら、どっぷり涙して読みました・・・・暁庵)


三溪園・春のクロスロード茶会  (5)へつづく  (3)へ戻る  (2)へ   (1)へ

三溪園・春のクロスロード茶会・・・(5)後礼のおたよりとフィナーレ

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(つづき)
後礼のおたよりの続きです。

 Rさまより  
暁庵様
先日は素晴らしいお天気となり 桜と新緑と春の日差しに見守られながら
お茶会を楽しませていただきました。

当日のお天気は客としてはもちろんですが、先生と社中の皆様がどれだけ喜んでいらっしゃるかしら・・・とうれしくなりました。
そして笑顔あふれるスタッフの皆様の行き届いたおもてなしに感激の一日でした。

結婚してすぐの頃 戸塚に住んでいたことがありました。
山形から珍しく父と母が遊びにきて「どこか行きたいところある?」
と私が聞きましたら父が「三渓園に行ってみたい」と言ったことを思い出します。
小さい子供を連れて行くには三渓園は遠いから・・・という理由で私が却下。
結局、鎌倉観光になりました。その時の私は近代数寄者の名前など誰も知らなかったのです。

あれからずっと訪れる機会がなくて今回 暁庵様のお茶会でようやく訪れた三渓園でした。
はじめての三渓園は思っていたよりずっとずっと美しく素敵な場所でした。
沢山の茶室はそれぞれが個性的で春草蘆の中の光のうつろい 蓮華院の土間の魅力、そこでいただくお茶の美味しさ・・・贅沢な時間を過ごさせていただきました。

翌日訪れた五島美術館の展示の中に 冷泉為恭筆「不老門」の軸を見た時、一入の黒楽のしっとりとした感触と豊かな表情が蘇りました。
あれは本当にいいお茶碗ですね。

暁庵様のブログを何年前から拝見していたのか思い出せませんが、遠くから仰ぎ見るようにしていた方と こうやって親しくやりとりしていることが夢のようです。
一区切りとおっしゃっていらっしゃいましたが、沢山のファンのためにもどうぞご無理のない範囲で継続してくださいますよう願っています。
お疲れになったと存じます。お片付けはゆっくりなさってください。 




 長野先生社中の山崎さまより 

桜が散りはじめ木々の若芽が目にも鮮やかにしみる三溪園の春草廬でのお席にお招き頂きまして、ありがとうございます。
築400年余、有楽斎の作と言われて障子も多く明るいお席でした。

一入の茶碗と珍しい黒薩摩の茶入ほか素敵な取り合わせの数々、お茶の楽しさ、お茶の奥深さを身に感じ入りました。
また、迎え礼送り礼の際の銅鑼の音色、打ち方、余韻は素晴らしく心に残りました。
また、お逢いするのを楽しみにしております。     


      満開のシャガ

 宗穂さまより  

新緑の美しい季節となりました。
過日は三溪園でのクロスロード茶会にお招き頂き、ありがとうございました。
満開のシャガ、山吹、散り敷く花吹雪の中、春草廬に向かいました。

相客の皆さま方にご挨拶を申し上げておりましたら、思いがけず中野様が入られ、緊張も解けてお迎えを待ちました。
春草廬では、九窓の明るみの中、お点前を拝見しながら暁庵様のお話をうかがっておりますと、確かに三畳台目が拡がって行くのです。

京都の灑雪庵の扁額を軸荘されて寄付きの床に、
そしてブログをひと休みされるとのお話し・・・・
人生のある時 ふと立ち止まり 目指すところを変えて歩み出す
ゆきゆきて またゆきゆく
拘りをもたず
柔軟な御心で御茶をなさる暁庵様のお気持ちが心にしみ入る思いでございました。

蓮華院では 
藤田様と藤の花房のお迎えを受けました。
素敵な石の露台のある待合
裾が人に磨かれた床柱
中野様の素晴らしい御道具の数々

暁庵様と社中の皆さまに心より御礼を申し上げます
どうぞお疲れがのこりませんよう くれぐれおご自愛くださいませ
ありがとうございました      かしこ   




さて、いよいよ「春のクロスロード」茶会のフィナーレです。
後片づけが終わってから駐車場へ行くと、桜吹雪がスタッフの髪や着物に舞いしきり、それはそれは美しくはかなく・・・・・

 さとみさま(暁庵社中)より
宗暁先生
おはようございます。
昨日のクロスロード茶会、お天気にも恵まれ、沢山お勉強させて頂き誠に有難うございました。
当日を迎えるまでの準備を垣間見るたび、これだけの準備をするから当日の素晴らしい茶席を持てるのだと改めて感じました。

先生の心づくしのおもてなしに、最後のお別れは、桜の花びらが風と一斉に空に舞い、「いい御茶会でした・・・」と囁いているようでした。

私もお稽古の一日、一日を大切にし、一歩ずつ進んでいきたいと思いますので、宜しくご指導をお願い申し上げます。
有難うございました。   


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大型連休の或る日・・・炉から風炉へ

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    新緑が煌めいて・・・徒歩約15分の公園にて


世間では大型連休に突入したとか・・・
ぐずついていた天気がうそのように晴れ渡って、戸外でお昼を食べたくなりました。
でも、出かける前に、5月1日からの稽古に備え風炉の準備をしておかなくてはなりません。
その日は風もなく、絶好の風炉灰の入れ替え時でした。

ベランダに出て、風炉灰を100メッシュの篩で篩うこと小1時間。
唐銅道安風炉へ灰が入りました。
「さぁて・・・釜はどれにしようかしら?」
箱が無く、棚に置いてあった責紐釜が目に留まり、責紐釜の久しぶりの登場です。
五徳を据え、釜に合わせて高さを調整します。釜の羽が風炉の上部より少し見えるくらいが良い・・・と記憶していますが、流派によって羽の高さ(位置)については違いがあるそうです。

灰形も続いて整えたいところですが、今日はここまでにします。
一度に頑張ると腰に負担が掛かるので、少しずつ分けてやることにしています。



近くの公園の藤が満開とのことで、散歩へ出かけました。
コンビニへ寄って、助六弁当1個、おにぎり2個、牛乳と野菜ジュースの紙パックを買いました。
家々の庭の花木が美しく、木香薔薇、花水木、ジャスミンが目を惹き、クレマチスも白や紫やピンクの花を咲かせています。



向こうから自転車を引いた女性がやってきました。
荷台に大きな筍がたくさん入っています。
「筍がいっぱいありますね・・・分けていただけませんか?」
思わず声をかけました。
すると、女の人は笑顔になって
「どうぞどうぞ・・・後ろにも積んでいますので見てください。
 朝採りなので柔らかく美味しいですよ」
近所の農家の方で、朝採りの筍を頼まれて届ける途中だったようです。
中くらいの筍を2本選ぶと、小さいのを1本おまけしてくれて千円。
今年は筍に縁がないのかしら・・・と思っていたので超嬉しい出来事でした。


     満開の藤棚の下でランチを


     かわいい殿様バッタを見つけました

公園の藤棚に着くと、紫色の藤の花が満開で甘い芳香を放っています。
藤と言えば京都の「鳥羽の藤」を思い出しますが、こちらの藤は長く垂れ下がらない種類のようです。
藤棚の下のベンチでランチにしました。
大きな公園なので大勢人が来ているかしら?と思ったのですが、私たち二人だけで静かなものです。

帰ってからすぐに筍を茹でて、煮物、筍御飯、味噌汁など筍づくしが嬉しく満喫しています。

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